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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年04月27日(土)

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「書くということの最初の鍵は考えることではなく、あくまでも書くことだ」

投稿日:2008年09月30日(火)

 これは『小説家を見つけたら』という小説に出てくる台詞です。作者はジェームズ・W・エリソンでソニー・マガジンズ文庫から発売されています。
 映画はショーン・コネリー主演なので、人気はともかく、知名度はあります。ショーン・コネリー扮する老作家と16歳の少年との交流を描いた作品で、全体的に地味な映画ですが、作家志望の向きは必見です。
 
 刮目すべきは、作品内に文章修業の場面があることです。
 
 ニューヨークの下町に住む16歳の高校生、ジャマール・ウォレスは学業もスポーツも優秀という才能に恵まれながらも、貧困により将来の進路について思い悩んでいます。ある日ジャマールは偶然にも幻の大作家、ウィリアム・フォレスターと出会います。文章を書くことに強烈な思い入れがあるジャマールは、フォレスターに文章修業を申し込むのですが……。
 
「書くんだ」
 ジャマールは老人が驚くべきスピードでキーを叩いていくのを見た。「何をしているんですか?」
「これが書くということだ。キーを押しさえすれば、君も同じようにできることだ」
 ジャマールは試し打ちをした紙を取り出して新しい紙二枚をタイプライターのプラテンにセットすると、紙の上部分に自分の名前を打ち込んだ。キーは依然として重く、指に馴染まなかった。
「まだ何も書いてないのか」フォレスターは猶予を与えなかった。
「考えているんです」
「いや、いや、それは後だ。考えるんじゃない。まずは、創造力を熱する。次に冷静に分析する。この順番が肝心だ」
 キーの上に指を飛ぶように走らせるうち、不意にフォレスターはトランス状態に入り、ジャマールはただ呆然とそれを見つめた。
 数秒後、フォレスターは頭を上げて息を吸い、そして言った。「別の言葉で言えば、第一稿はハートで書け――推敲では頭を使え、ということだ。書くということの最初の鍵は考えることではなく、あくまでも書くことだ」
 
 映画では古めかしいタイプライターを軽々と打つ老作家フォレスターと馴れないタイプライターに戸惑うジャマール少年が対照的に映し出されている面白いシーンです。
 老作家フォレスターから「書け」といわれてもジャマール少年は何を書いたらいいかわからない。何を書こうか考える。ところがフォレスターはジャマールに考えるより先に書けというのです。呆然とするジャマールの目の前で、フォレスターは凄まじい勢いでタイプライターを打ってみせます。圧倒されたジャマール少年は、書くという行為に対する、自分の今まで持っていた先入観が間違っていたと気付くわけです。
 
 良い映画なので機会あればどうぞ。
 
 
 
 


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物語と文章

 この老作家の言うことは、まさに今のわたしの姿勢ですね、ただし、それをまとめうる論理性に欠けるわけです。わたしのHPに転がっている小説群は、まさにそれです。イメージの混在。書けるだけ書いたという感じです。いわば、読者の方に教師になって、育てて頂こうと、本当に虫がいい態度なわけです。
 「物語は文章から生まれる」とは大熊昭信著「感動の幾何学」という本で出会った言葉です。彼は、その本の中で、文章は感動を呼ぶと言っています。わたしは、それを読者の想像力が感動を引き寄せると解釈しています。たとえば、「老人が滝を見て、妻を思い出した」という文章があるとします。ある読者は、老人から、自分の祖父を思い出します。そして、かつて彼が語った話を思い出したとします。「滝の見える土地で、妻を見失った」ここでは、戦争中、大陸で妻を失ったという設定なのですが、こんな短い言葉でも、読者によって、いろんな発想が可能です。誰でも発想はできるのですが、それを論理性によってまとめられるかが、作家になれるか否かの境界線だと思います。今のわたしはそんなところを修行中なわけです。
 しかし、管理人さんの文章を読んでいると、この段階はすでに過ぎていると思います。事実、現実世界(非ネット世界)において、これほど文章が書ける人間に出会うことができなかったのは、我が身の不幸だと思っています。
 

>>uenoさん

uenoさんこんにちは!

こんな近くにフォレスターと同じ人がいらっしゃった!
この映画を見たときに、映画は虚構だとはわかっていても、この文章修業のシーンには何か核心のようなものを感じました。ただ、自分ではその核心がよくわからない。まさにジャマールと同じ気分です。

uenoさんからいつもコメントをいただくことで、確実に私の文章に対する考え方が変わってきています。もちろん、よい方向に、です。カオスだった思考に外部からの刺激が加わったことである方向性が生まれてきました。漠然としているのですが、自分にまとわりついている様々な「何か」がもう少しで見えてきそうな気がするのです。

ところで「感動の幾何学」という本に興味があります。すでに流通していないようなので、古本屋を回るときに探してみます。

そうですよね。

私は今、考えて話を作ってるが
やっぱ書かないとだみだ。
何か断片を書かないと何も生まれないのだ。

と、色々趣向凝らして創作してます。
まだ創作するための実験してるのかって
笑われそうですけど。

>>小生さん

小生さんこんにちは!
Blog更新されていましたね。

これはあくまでも小説(映画)の話なので、どこまで本当なのかはわかりません。
でも、まったくのウソとも考えられないリアリティがあると思うのです。
とりあえずあの手この手で創作に取り組んでいこうと思います。なかなか先は見えてきませんねぇ。

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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