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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年05月16日(木)

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ずか、ずか、図鑑

投稿日:2009年01月26日(月)

植物図鑑が欲しい。それも学研のポケット図鑑。中身を確かめてから買いたいのに近所の本屋には売っていない。


そんなことを前回書いたが、それは土曜の夜のことだ。そして日曜の朝、さっそく「近所ではない」本屋に出掛けた。ちょっと遠い。長旅になるだろう。


遠くへのお出かけは一人では怖い。だから、ママと一緒に行く。馬券売り場に出掛けるパパを見送ってから、ママをクルマに乗せて出発する。ねえママ、ボク植物図鑑が欲しいの、いい子にするから買ってちょうだい、とおねだりしながらクルマを運転する。大井松田から東名高速に乗り名古屋方面へ向かう。途中、御殿場を過ぎたあたりで、そもそもこんな嘘を書いて何になるのだろうと思いはじめる。それでも、まあいいや、と走り続けるものの、だんだんあほらしくなり、浜松で降りて一般道に入り、浜名湖でうなぎパイを買って帰った。嘘だ。ああ、嘘なのに、うなぎパイが食いたくなってきた。


振り出しに戻る。


日曜の朝、さっそくちょっと遠くの本屋へ出掛けることにする。遠いといってもクルマで30分かからないぐらいの場所なので、地元であることにはかわりない。本屋のそばのホームセンターで白髪染めを買いたいというので、母も同行する。普通のドラッグストアやスーパーではだいたい598円とか698円で売られているあるメーカーの白髪染めが、そのホームセンターでは常に498円なのだ。


途中、妹のアパートによって姪におはようの挨拶をすると「いぐ、いぐう、ばーちゃんち、いぐぅ」と私に抱きついてきて離れない。だから、姪も一緒に本屋へ連れて行くことにした。チャイルドシートを妹のクルマから外し、私のクルマに装着し、さあ本屋さんへ向けて出発だ。


ついた。


妹のアパートからその本屋まではすぐだからな。


クルマの時計を見ると朝の9時を過ぎたばかりだ。本屋の入り口を見ると、営業時間朝10時からと書かれている。もう一度クルマの時計を見ると、朝の9時を過ぎたばかりだ。


クルマのなかで姪とアイアイを唄って時間をつぶす。


あーいあい あーいあい あーいあい あーいあい
あああああ うううああうう ああ


アイアイに飽きたら、ぞうさんを唄う。


ぞ~~~~おしゃん ぞ~~~おしゃん 
あああううあ あうあああう


だめだ、とても時間がつぶせる気がしねぇえ。


というわけで、先にホームセンターへ行くことにする。ホームセンターなら、わりと朝早くから営業しているはずだ。そんな気がする。


だーれもいない本屋の駐車場からホームセンターの駐車場へ移動する。看板の営業時間を見ると、開店時間は9時30分と書いてある。ああ、よかった。あと数分待っていればオープンする。それまで、姪といっしょにアイアイを唄って時間をつぶすことにする。


あーいあい 以下略


ところで、アイアイって、なに。歌詞によると、みなみのしまの、しっぽのながい、おさるさんだよー、ということだが、実在するのか? 家に帰ったら調べよう。覚えてないと思うがな。それにしても、私が保育園のころもアイアイを唄っていたのだから、ずいぶん昔の曲なんだなあ。なぜ、アイアイなのだろう。アイアイには何か特別な意味があるのだろうか。たとえば、どこかの国が友好の証として日本にアイアイを贈ってきたというストーリーがあるのだろうか。それもいっしょに調べよう。たぶん、覚えちゃいないと思うがな。


というようなことを考えていたら、ホームセンターが回転した。回ってどうするこの誤変換め。開店した。自動ドアのロックが解除され、ようやくなかに入れるようになった。


一歩店内に入ると、姪がものすごい勢いで私の抱っこをふりほどき、きゃ~~~~っと歓声をあげながら店内を走り出す。どんだけうれしいんだろうと思う。ホームセンターに何を期待しているのだろう。というようなことをうっかり書くと(書いちゃったけど)、子どもの奇声に過剰反応される読者の方々からお叱りをうけそうだ。怖いから誤っておこう。間違ってどうする。謝っておこう。ごめんねごめんねー。


ところが、可哀想なことに、このホームセンターにはおもちゃコーナーがないんだよね。おもちゃといっても、たいていのホームセンターで文房具コーナーに並んで置かれている、しゃぼんだまとか風船とかふきもどしとか、そういう駄菓子屋レベルのものを指しているんだけど、それすらないんだ。姪には一応いってあるよ。ごめんねここにはおもちゃないんだよー、って。でも、通じてないようで、ずっと店内を走り回っているなあ。あれはおもちゃコーナーを探しているのですよ。


姪はなんとか文房具コーナーにたどり着いて、子ども用のネンドやカラフルな絵の具を見て、あれえ、これおもちゃかなあちがうかなあ、という表情をしている。で、姪はたいへん賢い子なので(えっへん)、これはおもちゃじゃない、とすぐに判断してまた走り出す。私はデブで動きが鈍いから、その後ろをはぁはぁいいながら追いかける。幼女を後ろからはぁはぁいいながら追いかけている、980円のボロジャンパーを着て、ぼさぼさ頭の不審人物。それが、おじちゃんだ。おじちゃんはつねに通報される恐怖と戦っているのだよ。


姪はスポーツコーナーでサッカーボールを抱えている。私の姿を見つけると、かうぅ、かうぅ、と切ない声を出してすり寄ってくる。サッカーボールが欲しいらしい。どれ、おじちゃんにみせてごらん、というと、やあだ、と拒否される。渡したらまた棚に戻されてしまうことを学習したということだ。さすが、私の姪は賢い。姪がこの賢さということは、仮に私に子どもができた場合、想像がつかない。カミの子が生まれるかもしれない。新しい宗教が誕生する可能性もあるな。


と思ったら、サッカーボールは床に放り投げて、別のボールを抱っこしている。かうぅ、かうぅ、と切ない声を出してすり寄ってくる。バスケットボールが欲しいらしい。どれ、おじちゃんに(中略)新しい宗教が誕生する可能性もあるな。


最終的に、姪には398円で用途不明のカラーボールで手を打ってもらった。ボールが家にどんどん増えていく。


レジに並んで498円の母の白髪染めと398円の姪のカラーボールを購入。さて、買うものも買ったからお家に帰って姪と遊ぼう。


買ってねえよ。肝心の植物図鑑を買ってねえよ。


というわけで、時計を見ると10時を過ぎていたので本来の目的である本屋へ行く。本屋に入ると、姪がきゃ~~~~と歓声をあげながら走り回る。怖いよね。本好きの人ってさ、こういうことを冗談でも書くと、本気で怒りそうでさあ。だから断り書きをしておこう。この物語はフィクションです。都合の悪い部分は、実在の私および姪とは関係ありません。


とかなんとかいっているうちに、学研のポケット図鑑『植物』を無事発見。なかを確認してみると、植物のことがたくさん書いてあった。これでいい。


買って帰った。おしまい。






 




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HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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