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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年04月23日(火)

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地球を目指す夢

投稿日:2008年12月04日(木)

その世界はどこか遠い星だった。現実世界の地球よりも遙かに進んだ科学力で、大型の宇宙船を建造することもできた。そして、宇宙から飛来する何者かと戦争をしていた。

その世界でも私は仕事に困っていた。あるとき、「囮」のアルバイトを見つける。募集しているのは軍隊で、破格のお金がもらえた。しかし、但し書きがあってこう書いてある。「囮なので死にます」と。

そんなアルバイトでもやるしかないと思ったのは、夢のなかでさえ、私は切羽詰まっていたのだろう。早速軍隊に行くと、士官クラスの立派な制服を与えられ、まだ飛び立つ前の巨大な宇宙戦艦に配属された。私も含め、アルバイトに集まった青年たちはそれだけで喜んでいた。

仕事は簡単だった。というより、仕事ではなく遊びだった。ただその宇宙戦艦に乗っているだけでいい。囮であるから、好き勝手に宇宙めがけて主砲を撃つなり艦載機で遊ぶなりしていろという。おまけに、もしできるものなら宇宙へ飛びたってもいいとまでいわれた。とにかく派手にやって敵を騙せということだった。もちろん、私たちはまったくの素人だから何もできるわけがなかった。それでも、みんな楽しくてしかたなかった。みんなで軍人ごっこをしたり、ある者は動かせもしない艦載機に乗り込んであちこちいじってみたり、またある者は船のマニュアルを見つけ出し夢中で読み耽っていたりした。

ところが、いつまでたっても敵が現れる様子はない。本物の軍隊からの一方的な連絡もいつの間にか途絶えている。囮なのだから私たちが真っ先に攻撃されなければならないはずなのに、敵は姿さえ見せない。通信機のマニュアルを見ながらこちらからの連絡を試みるが応答はまったくない。私たちは途方に暮れた。

それからかなりの時間がたち、仲間の一人が独学で艦載機の操縦をマスターした。彼は「街を見てくる」と飛び立っていった。

帰ってきた彼が発した言葉はこうだった。

「世界はすべて滅んでいたよ」

さて、それから私たちは悩んだ。これからどうするのか。帰るべき街もない。この宇宙戦艦だけが生き残った私たちの拠り所だ。

もうこれが夢だとうすうすわかりはじめた私はみんなに提案した。

「実は、俺はこの星の住人じゃないんだよ。もしよかったら、この船で俺の星へ行ってみないか」

みんなはそれに賛成した。囮だったとはいえ、この宇宙戦艦は旧式というだけでまだ動く。最新鋭に比べれば性能は劣るが……

「俺の星の科学力では、この船にさえ太刀打ちできないんだぜ」

歓声が沸き起こった。すでにエンジンは始動している。艦長役に抜擢された私はマニュアルを片手に発進の指示を出した。

「その星の場所は、太陽系の――」






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疾走する夢

投稿日:2008年11月28日(金)

それはクルマだったり自転車だったり、あるいは未知の世界の乗り物だったりするが、どんどん加速を続ける夢をたまに見る。

先日は自転車に乗っていた。学生時代に通っていた道である。現実では平坦な道なのに、夢のなかの街は急斜面になっていた。どこまでも下る坂道を、私は懐かしい自転車に乗って走っている。そして、当然のようにブレーキは壊れていた。

加速による爽快感と止まれない恐怖感を同時に味わう。止まるためには、どこかでわざと転ぶか何かにぶつかるしかない。それは生と死の選択と同義だ。死にたくないから、走り続ける。容赦ない加速で内臓が突き上げられる。頭から血の気が引いていく。自分の意思と関係なく、呼吸が痙攣のようなリズムを刻み出す。最後には、死んでもいいから止まりたい、と願うようになる。もしかしたら、死なないかもしれないじゃないか――と。

ある瞬間、自分ではなく、世界そのものが高速に過ぎ去っているような錯覚に陥る。私が街のなかを走っているのではない。街が、私から走り去っているのだ。懐かしい風景が、風のように私の横を走り去っていく。

ああ、だから自分は走っているのか、と夢のなかで何かを悟って、目が覚めた。




ビルの夢

投稿日:2008年11月24日(月)

ビルは夢の世界を構築する重要な建築物だ。

イメージとしては、下の階ほど現世に近く、上に行くほど未来的、観念的になっていく。ちなみに地下にあるのはいつも、絶望する何か。

先日見たビルの夢では、ひたすら上の階を目指していた。しかし、途中の階で戦争が起きていたため巻き込まれてしまった。私はあくまでも部外者ということで難を逃れていたが、まあ酷いものだった。規律を守らない兵士たちが集められ、生きた盾として使われていた。規律は命より重いのだそうだ。幸い、私は上の階へのエレベーターを見つけたのでそこからおさらばすることができた。

上の階には、何もなかった。つまり、このビルに住む人類はさっきの戦争で死に絶えるということだ。それでも、まだエレベーターはあった。どこまでも上ることにした。

かなり上の階で、やっと一人の老人にあえた。戯れで「神ですか」と聞くと、老人は首を振って、もう一つ別のエレベーターを指さした。まだ上があるらしい。ここまで来たら、行ってみるしかない。

この上にはいったい何があるのか。

エレベーターのドアが開くと、目が覚めた。

つまり、現実があるということだ。



 

後継者

投稿日:2008年11月24日(月)

風邪も治まってきたのか、悪夢もそれほど酷くなくなってきた。

長い夢をみていた。

その世界で私は半ば廃墟と化した歴史的建造物に住んでいて、毎日やってくる修学旅行生を相手に講義をする仕事をしていた。何千、何万もの学生たちがやってきた。私は彼らに、世界の真理を伝えようと努めていた。やってくる学生たちのなかには、懐かしい私の小学生、中学生時代の友人たちの顔をあった。また、中世のヨーロッパ風の人々もやってきた。武士や軍人もきた。どうやら、時間を超越した世界のようだった。

夢の終わりに近づいた頃だろうか。私は小学生ぐらいの男の子を一人つかまえて、今から教えることを後世に伝えてくれといった。

私は鮮やかなグリーンのゴムボールを男の子に見せた。
「この色はどんな音に聞こえる?」
男の子は首を傾げて困っていた。
「色を音に換えるんだ。すべての色には音がある」
私は7色のパネルを取り出し説明をはじめた。
「黄色が一番わかりやすい。黄色は『きーん』という鋭い音がするだろう。たとえば、檸檬の音だ」
色が色として<見える>のは人間が映像としてそれを処理しているからだ。だったら、色が音として<聞こえる>ふうに処理することも可能なのだ。私はそういうことを、男の子に教えていた。

そして、その男の子が世界の最後の一人だったらしく、彼が帰ったあと、私のいた世界は急激に崩壊し、目が覚めた。



思考のピース

投稿日:2008年11月22日(土)

熱は下がってきたようだが、それでも朝方までうなされ、また妙なヴィジョンを見ていた。

それは六角形のピースだ。

自分の思考は、機能毎に分けられた六角形のピースを組み合わせることによって成り立っていると気づいた。周囲の空間から不意に生まれ出る六角形のピースが、自分の頭のなかに飛び込んできては、ガチャリガチャリと組み合わせられていく。それらは半透明な無機質で、電子回路をイメージさせる細かな紋様が内部に閉じ込められているが、どういう機能を持っているのかは直観できる仕組みになっていた。

私はその様子を熱にうなされながらずっと眺めていた。そして、読書の意味を悟った気がした。同時に、創作に必要な六角形のピースが足りていないこともわかり、朝になったら早速そのピースを探そうと思った。

 

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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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