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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年03月29日(金)

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夢のなかの方向感覚と時間の関係

投稿日:2008年09月10日(水)

これは非常に個人的な感覚の問題かもしれない。

南に向かって移動する夢を多く見ている。それはクルマだったり、徒歩だったり、何らかの飛行物体であったりするのだが目的地はだいたい南の方角にある。なぜ南に向かっているとわかるのか、その明確な証拠があるわけではない。ただ、南に向かっているという自覚があるだけだ。

北に向かう夢を見ないわけではない。北に向かう夢のほとんどは帰宅を目的としている。家に帰るために北に向かっているのだ。南に向かって出発しているのだから、北に帰るのは当然だろう……いや、当然なのかこれ。同じ夢のなかの出来事ならともかく、帰宅するだけの夢がつねに北に向かっているというのはなぜなだろう。

時間のイメージもある。これは言葉にするとなんだかおかしな気分になるが、自分にとって夢のなかでの南の方角は時間的な未来を意味している。一方、北は過去を意味する。あえて時間的なと書いたのは、未来という言葉には空想めいたものが含まれるので、自分のいる現在からつながっている未来と限定したかったからだ。南の国にSFワールドが広がっているという意味ではない。距離と時間が入れ替わった感覚とでもいえばいいのか。たとえば、現実世界の俺はヒキコモリだからずっと部屋の中にいる。時間だけが過ぎ去る。しかし、夢のなかではつねに南に向かって移動し続けているが、時間は経過しない。沈まない太陽。明けない夜。いつまでも続く夕暮れ時。そんな世界を旅している。

これはなんなのだろうか。

別に話を作っているわけではない。子どもの頃から見ている夢を思い返してみると、そういう共通部分というか夢の根底があるように思えるのだ。

これはある種の人間に共通する感覚なのだろうか。たとえば、北半球に住む人間が抱く南北のイメージがそのまま夢に影響を与えている可能性はないだろうか。北は寒い、南は暖かい。南の海、南の島、地上の楽園。南には快適な生活がある。このようなイメージだ。そうだとすれば、ここまでがんばって書いたわりには、ごく普通のことになってしまう。

時間の感覚はなんだろうなあ。時間が過ぎ去ってしまうような夢は記憶にない。移動はしているのに時間は過ぎない。これも普通のことなんだろうか。



ある夏の暑い日、俺は母と一緒に果樹園をつらぬく道を歩いていた。夕方いつも遊びに来る姪のために、絵本を買いにいくのだ。本屋は南の街にある。小さな古びた本屋が、たしか一軒あるはずだ。この果樹園の道をまっすぐに進めばすぐに行ける。まっすぐに歩き続けるだけで、いい。太陽はまだ真上にある。どんなにゆっくり歩いても夕方までには間に合うだろう。夏の強烈な光線が果樹園の木々の下に濃い影を作り出している。ずっと照らされ続けているから影はますます濃くなって、夜の闇よりも暗い黒に近づいている。俺は暗黒に足を踏み外さないよう、母の手をしっかり握る。俺と母は本屋に向かって歩いている。いつまでも、歩いている。たぶん、今も。


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夢と方向性

 たびたびコメントしてごめんなさい。ネットサーフィンをしていて、貴方のサイトを見つけたことは、図書館でおもしろい本を見つけたことと似ています。おもしろい本をただで読める。そんな感じですね。
 夢と言えば、自分は夢日記をつけているのですが、(HPで公開しています。)それと関係があるのかわかりませんが、ある音楽のイメージで、方向性が関連します。バッハのヴァイオリン協奏曲を聞くとあるイメージが浮かぶのです。そのイメージの中で、私は貴族の夫人という設定なのです。真夜中、ヨーロッパ大陸を北から南へと馬車で疾走する
イメージです。理由は、後付かもしれませんけど夫が危篤らしい。このイメージは永年不思議でたまらなかったのですが、貴方の文章を見て、何かつながっているのかもしれないと憶測いたしました。これは前世の記憶なのか、暗喩的な意味があるのか?後者だとすれば、方向性にどのような意味があるのでしょうね?再考してみる必要性を感じました。
 p.s ヒキコモリと書かれましたが。私も境遇が似ています。親近感を感じました。
 p.s2 小説を書けないとありましたが、本格的に書かれたらどうでしょう?貴方の文章を読んでいると書けないことが不思議でたまりません。

>>uenoさん

こんにちは!
コメントありがとうございます。

今、uenoさんのサイトを少しだけ拝見しました。
世界は違うけれども、もっと大きいところで、もしかしたら同じ方角を目指しているように思えました。
私にはない、ヨーロッパ的というのでしょうか、強い異国の雰囲気に充ちています。といいますか、実際にそちら関係の学問をされている(た)のでしょうか。

私の原動力のようなものは、夢です。夜、見る夢。
夢日記はつけていないのですが、印象に残った夢はメモにとります。
そして、その夢をもとに掌編をいくつか書いたこともあります。余談ですが、今は怪談にチャレンジしています。

ただ、夢というのは言葉にしてしまうと急に色あせてしまう。あれ、こんなつまらない夢だっただろうかと残念な気持ちになってしまう。
夢のなかで得た感覚を、文章によって忠実に再現できるようになれば、すなわちそれが小説になるのでないかと勝手に考えています。もちろんこれは理想であって、口ばかりであって、なんら実力が伴わないところが悲しいのですが。





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HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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