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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年05月06日(月)

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なぜ小説を書くのだろう

投稿日:2009年02月03日(火)

月並なタイトルで申し訳ない。

巧拙は別問題として、小説が書ける人と書けない人の根本的な違いはどこにあるのだろう。少なくとも、プロでもない限り、自分が書きたいから書くのであって、誰かに強制されて書くとか義務になっているから書くということはない。だから、小説が書ける人は、書きたいと思っているから書いている。これは間違いないはずだ。けれども、世の中には、自分を含めて、書きたいのに書けないという人が存在する。

今回は自分のことを棚にあげる。

自分の場合は、書きたいのに書けない(少しはかけるけど)に属する。でも、なぜ書きたいのに書けないのかと考えると、じっさいよくわからない。以前は、小説を書くための知識と技術が不足しているからだと考えていた。だから、小説指南本を読み漁ったり、語彙を増やすために辞書や図鑑を買ったり、プロの作品を書き写したり、暗唱したりした。それらの行為が無駄になっているとはいわないが、創作の原動力にはなっていない。あたりまえだが、いくら表現や語彙やテクニックを知っていても、書かなければ意味がない。

書けない理由をいつまでも「よくわからない」にしておくのはよくない。だから、必死に考えた。何日も考えた、いや、もう何年も考えているかもしれない。

先に結論を書く。

たぶん、小説でなくてもいいから、だ。

その人にとって、小説を書きくという行為が、自己表現もしくは自己実現の手段の一つにすぎないということだ。だから、書けない。でも、書きたい、と願っている。

以前のエントリで「絵が描けないから小説を書く」という意味のことを自分で書いたような気がする。いろいろやってみて、結局最後に残された可能性が「小説」というわけだ。

自分の場合、カルト宗教に入った事実があるため、その時点で友人・知人のほぼすべてを失っている。なぜ失うの? と本気で聞いてくる人はいないと思うけど、それが現実だ。宗教に手を出したという汚点はおそらく一生消えない。同窓会にも呼ばれないし、陰で「宗教野郎」「危険人物」というレッテル(事実だけどな)を貼られていて、私からの電話は危険だからでないように、という連絡まで行き渡っている。まるで犯罪者のような扱いだけど、これが自称一般人であるあなたがたの望んでいる「平和な社会」なんですよ。

さらに、仕事でとんでもないミスをして、某超有名企業のロビーまで土下座をしにいったという経験もある。そのミスがきっかけで、いわゆる社会的信用を失い、今ヒキコモリニートだったりする。その職場を解雇されたときも、社長から「絶対に同じ職種にはつくな」と念をおされている。これはしかたがない。本来なら、損害賠償の裁判を起こされても当然のことをしたのに、追放されるだけで済んだのだ。

お願いだ。同情してくれ。同情してもらいたくて、書いているんだ。


それはともかく、小説だ。

自分には小説しか残されていない。飛躍しているかな。しているよね。健全な小説家志望の人は、おそらくは自分の文章力に自信があったり、才能を自覚していたりする。

でも、普通の人だったら、首にロープを巻いてキーホルダーごっこをしているはずなのに、私はまだ生きているんですよ。ある意味、究極のポジティブ思考かもしれないな。

ここで、精神分析めいたことをするなら、私が小説を書くことを「ためらう」理由は案外単純かもしれない。だって、私には小説しか残されていない、と本気で考えているわけですよ。だから、ですよ。いいですか、小説しか残されていないと考えている人間から、小説をとってしまったら何も残らないのですよ。

わかりにくいか。

つまり、おまえには小説が書けない、という事実を認めてしまうのが怖いということなんだけどな。そんな怖ろしい事実を認めないためには、ずっと「書けるかもしれない」という可能性の状態を維持するしかないんだ。白紙の画用紙には、もしかしたらとんでもなくステキな絵が描かれる「可能性」がある。でも、描いてしまったら、そこには否定しようがないヘタクソな絵があるだけだ。そんなかんじ。

小説でなくてもいい、っていうのはそういうことなんだ。もし、この先、自分に小説以外の何か生きていける可能性が見つかれば、そっちに移るだろうってこと。自分にとっての、小説は、そういうものなのだ。



毎日、毎日、見えない何かと戦い続けているんだぜ。自分って、すごく陳腐じゃないか。


生きている。今日も生きている。生きている。生きている!




小説を書くという行為が「世界の創造」であるとするなら(大げさだな)、自分は、本当は小説が書きたいのではなく、壊してしまった日常を再構築したいと願っているだけなのかもしれない。




【つっこみ】
再構築しちゃったら、また同じ失敗の繰り返しだろ!
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無題

「なぜ、書くのか」。
難しいですね。永遠の謎です。(苦笑)

私の場合は、頭にある「仕掛け」を書いてしまわないと気が済まない、という所から来ています。
だから、文章を書くのが「好き」とか「得意」という訳では無いので、私も非常に苦労している所です。

でも文章を書かずにはいられない、という方もいますよね。逆に羨ましいくらいです。

ただ、今日拝見したような波乱万丈の人生を送っていらっしゃるのでしたら、きっと、凄く面白い小説が書ける筈ですよ。
平々凡々と過ごして来た人間(私も含めて)より、強く心を動かされるような出来事に遭われた方のほうが、一文に込められる思いが、きっと強いような気がします。
管理人さんの中にある「何か」は、書かれる日を待っているのでは無いでしょうか。

>>さくらさん

さくらさんこんにちは。

なんとなく暗い毎日を送っていると、ふいに誰かから温かい言葉をかけてもらいたくなります。
そんな気持ちが、今回のエントリを書かせたのでしょうね。
コメントがいただけて大変うれしい気持ちです。

それはともかく、やはり書ける人というのは、書かずにはいられない衝動があるのでしょうね。
自分にもそういう素質はあると思うのですが、失敗を恐れるあまり(あとがないですからね)、なかなか思うように筆が進みません。

なんだかおかしいですよね。自分は書きたいと思っているのに、書かせないのも自分なんですから。

文章と車輪

「壊してしまった日常を再構成したい」と書かれているのは、まさに、私も同じ気持ちです。
 小説を書くという行為は、私にとって、失った10年を取り戻す行為だと思っています。

 小説に関することですけれども、もしかしたら、車輪の脂が不足しているではないでしょうか。車輪は脂が無ければ、動きが滞ってしまいます。その結果、なかなか、前へ進めないのかもしれません。
 文章を書くと言うことは、これに似ていると思います。私などが評価できるとは、とうてい思えませんが、錦さんの文章は、私の劣等感を刺激します。どうしたら、あのような堅実な文章を書けるのかと思います。どちらかと言うと、私の文章はマニア向けです、錦さんの文章のように万人に受けるということは、難しいでしょう。もちろん、そのための努力中ですが。
 あれほどの文章が書けるのだから、自信を持って欲しいと思います。 

「見えない相手と~」
これも、同意見です。私の場合、もはや、ふつうの方法で、社会に溶け込むことをあきらめています。そうすると、手段は「小説」しかありません。
 なんて、博打な人生なんでしょう。
 
 まさに、生きている、生きている!という感じです。

>>uenoさん

uenoさんこんにちは。

「車輪の脂の不足」こそが、私のもやもやを言語化したものです。なんて、象徴めいた言葉だろう。私は書いた記事のなかで、必死に言い表そうと思っていたのは、まさにその「車輪」のイメージ(感覚)です。小説を、書きたいのに書けないという状況は、錆び付いた、脂の切れた、車輪を回そうとしているのと同じように思えます。

ちょっと私は今から瞑想したい気分です。巨大な車輪を必死に回そうとしている自分自身を観てみたい。そして、車輪の本質や、脂の正体を見極めたい。

なんだか、急に目の前が開けたような感覚です。が、その結果、現われたのはさらに長く険しい道だった、というような気分です。

なんだか不思議ですが、uenoさんという存在は、世界が私に働きかける強制力の擬人化という気がしてなりません。一度に5000字ほどのものが書けるようになったのは紛れもない現実であり、あのリレー小説というきっかけがなければ、絶対にありえなかったはずです。

ただ、「実行する」ということは、同時に「理想を破壊する」ことでもあります。書けば書くほど、自分に足りていないものがわかるようになる。何が書けて、何が書けないかわかってしまう。これは結構つらいことです。心が引き裂かれそうになります。

あ、今、気づいたのですが、父は博打打ちなのに私はまったく博打をしない。だから、父の血はあまり引いていないのかなと思って生きてきたのですが、とんでもない、私だって博打な人生ですね(笑)
やっぱり、父の子だったんです。

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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