忍者ブログ

ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

[PR]

投稿日:2024年04月29日(月)

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

都筑道夫『25階の窓』

投稿日:2008年04月10日(木)

読み終えた。これはいい。

『怪談の学校』で必読とされていた都筑道夫氏の『ミステリイ指南』を読み、氏の怪奇小説論に感化され、初めて購入した短編集が『25階の窓』だ。タイトルのチョイスはたまたまブックオフにこれしかなかったからにすぎない。もっと他の作品も読みたいのでまた探しに行く。

『25階の窓』とは25の短編が収められているという意味だった。タイトルの下には「都筑道夫モダンホラー・コレクション」と書かれている。モダンホラーという言葉は今の感覚だとなんだか古臭く、気恥ずかしさもある。作品の内容は時代背景のせいでどこか懐かしい空気を感じるけどなかなか面白い。さすがに、ホラー・怪奇小説を読んで夜も眠れなくなるという年齢ではないし、小説を書くための読書として物語の構成やら表現方法やらに目を光らせているから、恐怖を味わうという本来の意味での楽しみ方はできていないかもしれない。それでも、読後に妙な不安感が残ったり、なんだか釈然としない気持ちがあとをひいたりしているのだから、都筑道夫氏の筆力には素直に驚ける。同時に、今まで読まなかったのを非常に悔やむ。

物語の中ですべてが完結するのではなく、読み終えた後、読者が現実世界に帰ってきてからも何かが心にひっかかっていたり、漠然とした不安がどこか付きまとっていたりする、そういう感覚が残るものが怪奇小説、怪談としては優秀ではないかと俺は勝手に考えている(『怪談の学校』か『ミステリイ指南』の受け売りかもしれんけど)。しかし、読者によっては「え、けっきょく何なの」「オチはないの」「説明不足じゃないの」という感想を抱くかもしれない。かくいう俺も何がおこったのかよくわからず、「阿蘭陀すてれん」と「かくれんぼ」を数回読み直してしまった。実に不思議な作品だった。こういう小説を自分でも書いてみたいものだ。

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

無題

都筑氏の本はなかなか手に入らないんだよね。

俺も指南本とか読んでみたけど古本屋では売っていないのよ。25階の窓もまだ未読。本当に悔やまれます。

落ちがないとか良く分からん文章はよくありますが、彼の場合は分かってて書いているから凄い。わざとここは書かないほうが良いだろうとか考えてるに違いない。

俺の想像だけど都筑氏の推理物を読むと論理展開のすばらしさに思わず脱帽します。

条理と不条理の使い分けと言うか、使い分けられるくらい言葉を使いこなしてますよね。見習いたいもんです。

>>中村さん

こんにちは!

都筑氏の本はほんと売ってないんですよね。
かなりの数の作品が出ているはずなんですけどね。
『ミステリイ指南』もインターネットの古書店でプレ値で購入しましたし。

『ミステリイ指南』を先に読んでいたからわかったのですが、都筑氏は一見オチのないような話でもちゃんと計算して作っているみたいですね。
自分もこんな作品が書いてみたいと思いました。

トラックバック

twitter

facebook

レコメンド

人気記事

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ 小説家志望へ

★ブログランキングに参加しています。

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


バーコード

ブログ内検索

あわせて

あわせて読みたいブログパーツ

アクセス解析

忍者アナライズ

お知らせ