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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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面映ゆい

投稿日:2009年03月19日(木)

吉村昭の小説に「面映ゆい」という言葉が頻繁に出てきた。読み方は「おもはゆい」らしい。

面映ゆいの意味を『語源辞典形容詞編 』で調べてみる。
おもはゆい 面映い
 文語オモハユシの口語。顔を合わせるのを恥じるさま、心の中できまり悪く思うさま。
 

語源についてはこう書かれている。
 オモ(面)マバユシの意で、語源はオモ(面)ハユ(映)の状態の形容詞化。古語ハユ(映)のハにははっきりする意の「端」の意がある。内心ひけ目があって、相手とまともに顔を合わせるのがまばゆく感じられるのをいう。類語キマリ悪イ・気ハズカシイ・テレクサイ。
(語源辞典形容詞編より)

小説ではこのように使われている。吉村昭の「少女架刑」より。
「まだ、お若いようですね」
 男は面映ゆ気な表情で手拭をかぶせられた私の方を見つめた。

別の箇所も。
「さようで御座いますか、御丁寧に。……では、遠慮なく頂戴させていただきます」
 母は、一寸面映ゆ気な表情を顔に浮かべながら、指を揃えて深々と頭を下げた。

もう一箇所。
 老人が背伸びするようにして白い布をはずすと、内部から白い骨が徐々に現われてきた。老人は、白布をとり除くとそれをまるめて抱き骨標本を見上げた。面映ゆそうな表情だった。

同じ短編集から「透明標本」にも見つけられる。
「いいえ、まだだめです」
 加茂は、面映ゆそうに苦笑した。

もう一箇所。
「大したものを作ったね」
 教授は、そう言ってかれの顔を見上げた。
 倹四郎は、面映ゆそうに顔を紅潮させていた。
 

他の作品にも何回か出てくる言葉だ。
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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
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