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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月23日(土)

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地球を目指す夢

投稿日:2008年12月04日(木)

その世界はどこか遠い星だった。現実世界の地球よりも遙かに進んだ科学力で、大型の宇宙船を建造することもできた。そして、宇宙から飛来する何者かと戦争をしていた。

その世界でも私は仕事に困っていた。あるとき、「囮」のアルバイトを見つける。募集しているのは軍隊で、破格のお金がもらえた。しかし、但し書きがあってこう書いてある。「囮なので死にます」と。

そんなアルバイトでもやるしかないと思ったのは、夢のなかでさえ、私は切羽詰まっていたのだろう。早速軍隊に行くと、士官クラスの立派な制服を与えられ、まだ飛び立つ前の巨大な宇宙戦艦に配属された。私も含め、アルバイトに集まった青年たちはそれだけで喜んでいた。

仕事は簡単だった。というより、仕事ではなく遊びだった。ただその宇宙戦艦に乗っているだけでいい。囮であるから、好き勝手に宇宙めがけて主砲を撃つなり艦載機で遊ぶなりしていろという。おまけに、もしできるものなら宇宙へ飛びたってもいいとまでいわれた。とにかく派手にやって敵を騙せということだった。もちろん、私たちはまったくの素人だから何もできるわけがなかった。それでも、みんな楽しくてしかたなかった。みんなで軍人ごっこをしたり、ある者は動かせもしない艦載機に乗り込んであちこちいじってみたり、またある者は船のマニュアルを見つけ出し夢中で読み耽っていたりした。

ところが、いつまでたっても敵が現れる様子はない。本物の軍隊からの一方的な連絡もいつの間にか途絶えている。囮なのだから私たちが真っ先に攻撃されなければならないはずなのに、敵は姿さえ見せない。通信機のマニュアルを見ながらこちらからの連絡を試みるが応答はまったくない。私たちは途方に暮れた。

それからかなりの時間がたち、仲間の一人が独学で艦載機の操縦をマスターした。彼は「街を見てくる」と飛び立っていった。

帰ってきた彼が発した言葉はこうだった。

「世界はすべて滅んでいたよ」

さて、それから私たちは悩んだ。これからどうするのか。帰るべき街もない。この宇宙戦艦だけが生き残った私たちの拠り所だ。

もうこれが夢だとうすうすわかりはじめた私はみんなに提案した。

「実は、俺はこの星の住人じゃないんだよ。もしよかったら、この船で俺の星へ行ってみないか」

みんなはそれに賛成した。囮だったとはいえ、この宇宙戦艦は旧式というだけでまだ動く。最新鋭に比べれば性能は劣るが……

「俺の星の科学力では、この船にさえ太刀打ちできないんだぜ」

歓声が沸き起こった。すでにエンジンは始動している。艦長役に抜擢された私はマニュアルを片手に発進の指示を出した。

「その星の場所は、太陽系の――」






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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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