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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月23日(土)

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箱を買った話

投稿日:2008年09月18日(木)

明日は箱を使いますから家にある正方形の箱を持ってきなさい。

困ってしまった。家に箱などまったくない。しかも、正方形の箱、つまりはサイコロのような箱でなければならない。先生は箱なんてどこの家にも必ずあるから、何でもいいので持ってきなさいと言っていた。何でもいいと言われても、何にもない。お母さんになんで家には箱がないのと食いついてみても、ないものはないのだから仕方がない。

お父さんが仕事から帰ってきた。そんな無理なことを言う先生は俺がぶっ殺してくれると怒ってくれた。なんであなたはすぐにそういうことを言うの、と今度はお母さんがお父さんに向かって怒り出した。だいたい学校で箱を何に使うのか、と聞かれても答えられない。箱を使って授業で何かを習うのだから今はわかるわけがないのだ。

箱を買いにいくことにした。夜の10時まで開いているスーパーが遠くの街に一軒あった。わざわざそこへ向かった。スーパーでは正方形の箱に入った商品を探すけれどもまったく見あたらない。ようやく化粧品コーナーで、とても高いクリームの箱が見つかった。それだけが、ほんとうにサイコロのように完璧な箱だった。仕方なくそれを買った。うちは貧乏だったから、その化粧品を買っただけで他の何も買えなかった。お菓子が買ってもらえると思っていた俺は残念だった。帰りのクルマの中で、まあ学校で使うならしょうがないね、とお父さんとお母さんはため息をついていた。

結局、箱は算数の授業で、カッターを使ってばらばらにされた。ただ、それだけのことだった。何千円もした化粧品の、ぴかぴかでつるつるのきれいな箱はすぐにゴミになった。ゴミなんだけれども、学校で捨てずに家に持ち帰った。


この話を友人にしたところ、本当におまえは昔から馬鹿だったんだな、と言われた。ついでに、一家そろって馬鹿なのか、とも言われた。意味がわからない。

最近、なんとなく妹にも話してみた。学校ってのはひどいよね、と。妹は今は保育士をしている。妹は、それはお兄ちゃんもお母さんもおかしいよ、と言った。やはり意味がわからない。

本当になぜ馬鹿なのかわからないから、今日はオチがない。


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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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