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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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おばさんだったら俺はおっさん

投稿日:2008年09月16日(火)

マクドナルドのレジ前付近に立っていると知らないおばさんが声をかけてきた。すみませんが並んでいるんですか、と。俺の立ち位置がレジに並んでいるのかいないのかあやふやだったらしい。デブは無駄に空間を占有するから困る。無自覚でごめんなさい。

するとその知らないおばさんは俺の顔を見るなり「○○君だね久しぶり」という。俺はこんな小柄でふくよかでステキなおばさんに知り合いはいないから困った。あるいは以前いた会社のパートさんだろうか。それとももっと昔の、アルバイト時代にお世話になった人だろうか。そういえば農協でバイトをしたときはおばさんだらけだったなあ。もしかしたら暇を持て余したマダム(正しい使い方わからんねこの言葉)が新しい玩具として俺に目をつけていたのかもしれない。なるほど、普段誰かに見られている気がするのはこのおばさんが雇った探偵なのかもしれない。ちくしょう、名前以外に俺のことをどこまで知っているんだ。お金はちゃんともらえるのだろうか。どんな性的嗜好でもって俺は奉仕せねばならないのだろう。俺の腹を構成する脂肪の塊がある種の人々にとっては貴重な肉枕になることは容易に想像できる。俺は俺の腹にその顔を埋めるこのおばさんの姿を想像した。

「ごめん、誰だかわからない」
「えー、ひどい」

あまり股間を刺激しない加齢臭が漂うような妄想はやめにした。名前を聞けば、小学生のときにクラスが一緒だった同級生だとわかった。そういえば昔からこんな体型だった。ふくよかな体型はそれだけで温和な性格をイメージさせる。だから、嫌いではなかった。しかし、忘れられないほど仲がよかったというエピソードはまったくない。酷い言い方をすれは、俺にとってのその他大勢、だ。

「小学校のとき同じクラスだったよね」
「えー、高校も一緒だったよ」

俺はぜんぜん覚えていない。

「昔、バイトも一緒にしたよ」

ホントにまったく覚えていない。俺の記憶力は相当悪いらしい。いや、記憶力の問題もあるかもしれないけれども、小学校も高校も今となっては遠すぎる思い出だ。わかってはいるけれども、同級生の女の子が、野良着が最も似合うだろうなと思わせる雰囲気のおばさんになっているということは、向かい合っている俺は傍から見れば間違いなくおっさんなのだ。田舎のマクドナルドで、久しぶりに会った田舎のおばさんとおっさんが語らいでいる。そんな風景。





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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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