投稿日:2024年11月21日(木)
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投稿日:2008年10月13日(月)
ショッピングセンターの駐車場で、俺はクルマのなかで待っているから買い物をしておいで、と母に言うと、おまえお金無いんでしょう、と母が千円札を一枚差し出した。惨めという感情がなくなるほど、俺は落ちぶれていたから、何のためらいもなくそれを受け取った。いつか何百倍にでもして返すから、と俺は心のなかで呟くのだが、その「いつか」を迎えるためには、母の寿命はもう短すぎるのだった。もちろん、俺のも。俺はクルマを降り、母からもらった千円札をズボンのポケットの奥深くにしまい込むと、ショッピングセンターに併設された書店へ向かった。原著で読まない限り、誰が翻訳したものを読んだとしても、元の雰囲気ないし味わいが完全に伝わることはない。しかし、それでも話の内容までもが変わることはないだろうと思っていたが、中条省平氏は「バタイユ的な散文性、考えてみればよく分かる論理的な連関をすっ飛ばしていることが意外に多い」と指摘する。俺自身は、漢語まみれの訳の分からない文章を読んで無理矢理ありがたがるより、「バタイユそのもの」を読みたいと思っていたので、中条省平氏には敬意を表するしかない。(だったらフランス語勉強しろ、ってのはカンベンね。)論理的であらねばならぬ、というのは言語の使用法に関するバタイユの愚直なまでの信念だが、生田バタイユは、漢語を多用する哲学的な語彙と文語調の勢いのよさとで、バタイユ的な散文性、考えてみればよく分かる論理的な連関をすっ飛ばしていることが意外に多いのである。日本語の勢いとかっこよさで、少々分かりにくくても突っ走ってしまう訳文とでもいえばいいだろうか。今回の新訳では、このバタイユの論理性、よく考えれば分かる愚直なまでの道すじを回復することが最初の狙いだった。
(『マダム・エドワルダ/目玉の話』訳者あとがきより)
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