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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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焦っている自分に焦っている

投稿日:2008年10月10日(金)

焦ったからといって何ら能力が加速されるわけでもないのに、昨日から心臓の鼓動が、ヤバイ。

正確には首筋から後頭部、左耳の後ろあたりが嫌な緊張感をもって脈動している。視線は上下運動を繰り返す。何かを考えながら上を見て、すぐ落ち込んで下を見る。その間隔が機械的すぎたので自分でも気がつかなかった。なんで部屋が揺れているのだろうと思っていた。

時計の針の音がなぜか腹のなかから聞こえてきた。念のため時計が本来あるべき場所を見ると、あるべき場所にあった。そうなると今度は時計の音が気になって、その二拍子のリズムがある強制力をもった行進曲に聞こえてくる。連想されるのは学校の運動行事で、ああそういえばもう10月10日だから世間一般では運動会のシーズンなのかとため息をつく。

一度イメージしてしまうと、土埃と汗と小便の匂いが混じった小学校の運動会の記憶が引きずり出される。嗅覚が抱え込んでいた記憶だ。同時に、母の作った稲荷寿司と粉っぽさの残る唐揚げの味、俺の大好きな味が口の中に広がっていく。味覚の記憶だ。

突然あたりは暗くなり、自分が細い果樹園の道を歩いているのに気づく。ふいに、耳の奥で今まで鳴り響いていた運動会の喧噪――子どもたちの歓声とスピーカーから流れるおなじみの曲たち――が消え、コオロギの鳴き声と疲れた足で砂利を踏みしめる音とすぐ側にある国道をひっきりなしに走るダンプカーの音が聞こえてくる。学校の帰り道だ。

果樹園を抜けると農協の真四角な建物が現れる。その入り口にある白くて丸い大きな時計は、いつも9時37分で止まったままだ。農協は古い。時計も古い。でも、昔は動いていたはずだ。それを見るたびにちょっとだけ神経を痛めた。

時計のイメージが俺を現代に戻した。

俺は今、パソコンに向かってキーボードを叩いている。そう、叩いている。リズム、リズム、リズム、文章はリズムで書くのだ。考えない。感じない。こうやってさっきから叩いているだけで、ここまで来た。さあ、そろそろ止めるのだ。

止めるのは、簡単。

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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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