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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月21日(木)

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母は俺に千円を渡した

投稿日:2008年10月13日(月)

ショッピングセンターの駐車場で、俺はクルマのなかで待っているから買い物をしておいで、と母に言うと、おまえお金無いんでしょう、と母が千円札を一枚差し出した。惨めという感情がなくなるほど、俺は落ちぶれていたから、何のためらいもなくそれを受け取った。いつか何百倍にでもして返すから、と俺は心のなかで呟くのだが、その「いつか」を迎えるためには、母の寿命はもう短すぎるのだった。もちろん、俺のも。俺はクルマを降り、母からもらった千円札をズボンのポケットの奥深くにしまい込むと、ショッピングセンターに併設された書店へ向かった。

俺は母からもらった千円で、バタイユを買った。


今回購入した本は二つ。前回、集めたいと思った光文社古典新訳文庫からバタイユとフロイトを一冊ずつ選んだ。

光文社 古典新訳文庫

バタイユ『マダム・エドワルダ/目玉の話』中条省平・訳
フロイト『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』中山元・訳

フロイトはもう一冊あって、中山元氏が最近好きなので買うべきかと思ったけれども、バタイユがどうしても読んでみたかった。訳はあの(どの?)中条省平氏だ。以前の訳(『眼球譚』というのかな)は読んだことがないので比べようがないけれども、非常に読みやすいと思う。訳者あとがきに書いてあるが「今ふうの文章」なのだ。ところが、中条省平氏はこの改訳には積極的な野心があったと告白する。
 論理的であらねばならぬ、というのは言語の使用法に関するバタイユの愚直なまでの信念だが、生田バタイユは、漢語を多用する哲学的な語彙と文語調の勢いのよさとで、バタイユ的な散文性、考えてみればよく分かる論理的な連関をすっ飛ばしていることが意外に多いのである。日本語の勢いとかっこよさで、少々分かりにくくても突っ走ってしまう訳文とでもいえばいいだろうか。今回の新訳では、このバタイユの論理性、よく考えれば分かる愚直なまでの道すじを回復することが最初の狙いだった。
(『マダム・エドワルダ/目玉の話』訳者あとがきより)
原著で読まない限り、誰が翻訳したものを読んだとしても、元の雰囲気ないし味わいが完全に伝わることはない。しかし、それでも話の内容までもが変わることはないだろうと思っていたが、中条省平氏は「バタイユ的な散文性、考えてみればよく分かる論理的な連関をすっ飛ばしていることが意外に多い」と指摘する。俺自身は、漢語まみれの訳の分からない文章を読んで無理矢理ありがたがるより、「バタイユそのもの」を読みたいと思っていたので、中条省平氏には敬意を表するしかない。(だったらフランス語勉強しろ、ってのはカンベンね。)

フロイトは中山元氏の訳なので期待している。こちらもぱらぱらと見たかんじではとても読みやすそうだ。



母が俺を呼んでいる。夕食だ。俺は母からもらった千円で買った文庫本を机におき、居間に向かった。

夕食は特売89円のインスタントスパゲッティだった。





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『永遠平和のために/啓蒙とは何か』

投稿日:2008年10月06日(月)

光文社古典新訳文庫のカントを買ってきた。これは訳が中山元氏なので以前から読みたいと思っていた。中山元氏の『思考の用語辞典』がすばらしすぎたので、一気にファンになってしまったわけだ。

※光文社古典新訳文庫についてはこちら
光文社 古典新訳文庫

お金があればこのシリーズを集めたい。今はヒキコモリニートなので欲しくても買えないが、いつかきっと、いつかきっと。

それはともかく、評判通り、中山元氏の訳は非常に読みやすそうだ。ぱらぱらと眺めただけだが、小難しい用語もあまり使われていないように見える。これなら挫折しないで読める。うれしい。巻末の豊富な解説ページもありがたい。

ちなみに、どこでおすすめされていたかというとPHPから出ている『現代思想入門』のなかでだ。「フランクフルト学派への道程」と題されたブックガイドで紹介されている。引用してみる。
 まずカントは『永遠平和のために/啓蒙とは何か ほか三編』(中山元訳・光文社古典新訳文庫)に収録の「啓蒙とは何か」から入るのがオススメ。短いながらもカントによって、啓蒙の息吹が吹き込まれたこのパンフレットは、「啓蒙と市民的主体」を考える上での最重要書の一つです。それに、この本に収録された他の四篇は、どれも重要なものばかり、また巻末の訳者の解説も良質なのでとてもお買い得です。体力と知力に自信のある方は、三批判書にチャレンジしてください。
(『現代思想入門』より)
もう○十年早く、俺が中高生のときに出てくれていればよかったのにね。いい時代だね。

というわけで、今から読む。



ダイソー『難読語辞典』

投稿日:2008年10月04日(土)

100円ショップのダイソーで買ってきた。ダイソーも最近は100円じゃない商品が増えてきたけど、このミニ辞典シリーズはあいかわらず100円だ。

『難読語辞典』は表紙に「日常生活で目にする読みの難しい語、読み誤りやすい語を収録。難読の地名も網羅。」と書かれている。なかを開いてみると、確かに小難しい読み方の言葉がアイウエオ順に並んでいる。

アイウエオ順に、だ。

読み方の難しい言葉が、アイウエオ順に並んでいるのだ。あれあれ。たとえば「日常生活」で「襤褸」という言葉を目にしたとしよう。読み方わからないなあ、そうだ、今こそダイソーで買った『難読語辞典』で調べよう、と思って開いてみる。あれあれ。どうやって調べるんだこれ。

つまりこの『難読語辞典』は、難しい言葉の読み方を調べるのではなく、暇なときにでも眺めて難しい言葉を覚えてくださいな、ということだ。100円に文句言っちゃあいけない。俺はこういう脱力感、好きだ。

ちなみにさっきの「襤褸」は「らんる」という言葉だ。意味はぼろぼろの服かな。ためしにYahoo!辞書にこの漢字をコピペしてみると「らんる」じゃなくて「ぼろ」が出てくる。襤褸は「ぼろ」とも読むのか。へぇ。




 

『感動の幾何学』購入

投稿日:2008年10月03日(金)

探せばあるものだね。

大熊昭信『感動の幾何学』を入手した。さすがに105円というわけにはいかなかったけどね。コメント欄でこのタイトルを見たときに惹かれた。

普通、読書というものは連鎖している。ある本を読み、その本がまた別の本を呼ぶ。それは著者の繋がりだったり思想の繋がりだったり、あるいは単純にジャンルの繋がりだったりもする。そういう意味では、本の選択が個人的である限り、その人の傾向が現れるのは当然だ。ようするに、読む本と読まない本が出てくる。多読だの乱読だの言っても、完全にランダムな本の選択はきわめて難しいのだ。

だから、他の人の読書の連鎖をふいに目にしたりすると、それが驚くほど新鮮に見えたりもする。さらに、自分が求める<道>のようなものと合致したとき、驚きは欲求へと昇華する。自分も読みたい、と。

創作において「感動とは何か」とは誰もが考えることだ。自分が創作する側に回ったとき、つかみ所はないのに、たしかにそこに存在する<感動の装置>を、自分の手でくみ上げてみたいと切望する。だから、この『感動の幾何学』という題名には期待するしかないわけだ。

話はそれるが「感動」という概念もじつに多様だ。不用意に使えば誤解を招きかねない。「感動」という言葉の、あなたのなかでの意味と、俺のなかでの意味と、この本で意味するものが、必ずしも同じとは限らないのだ。まあ、だからこそ読んでみようとも思うのだけれどもね。


※※※
追記というか、今、気づいた。これ『感動の幾何学 I』だね。1ということは2もあるのか。

今日は3冊買ってきた

投稿日:2008年09月24日(水)

数えたから間違いない。今日は確かに3冊買っている。前回は買った本の数まで間違うという精神不安定ぶりだったが今日は大丈夫。今日は大丈夫。今日は大丈夫。今日は。

BOOKOFFの105円コーナーっていいよね。必要のない本でも105円なら買ってしまう。もちろん、必要はないといっても興味はあるのだから無駄にはならないと思う。

『3日でわかる 古代文明』
『社会思想史』
『唯物論と弁証法』

『3日でわかる 古代文明』はダイヤモンド社だからナツメ社や日本文芸社の雑学シリーズと同じで社会人向けかな。表紙カバーの折り返し部分に「今さら他人に聞けない古代文明の基本と常識をズバリ解説!」とあるのがなんだか妙に面白い。日常生活において、古代文明について他人に聞くような機会があるのだろうか。その「他人」は古代文明に詳しいのだろうか。「人に聞けない」ではなく「他人に聞けない」のはなぜだろう。あれ、他人と書いて「ヒト」って読んだっけ。どうでもいいか。このどうでもいいことが、面白い。タイトルに「3日で」と入っているけれども、どこにもその根拠はない。つまり、手っ取り早い、インスタントな知識の提供ということを示したいのだろう。売る気あるのかこの出版社は! だめっぽい参考書みたいなネーミングだな。

『社会思想史』はなんだかわからんけど買ってしまった。なんじゃろか。ぼくわかんない。

『唯物論と弁証法』もなんだかわからんけど買ってしまった。なんじゃろか。ぼくわかんない。





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小瀬朧
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