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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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親父が庭で草むしり

投稿日:2008年04月30日(水)

小説とはぜんぜん関係ないけどね。

今、親父が庭で草むしりをしている。カンナで土を叩く音がカチカチ聞こえる――ふとここで気づいたが、「カンナ」というのはおかしい。「カンナ」といったら大工道具の名前じゃないか。カンナで土を叩く、これでは奇妙な光景になってしまう。しかし、俺は昔からあの草取りの道具を「カンナ」と呼んでいた。そう教わった。草取りするからカンナ買ってきてね、と母親も言っていた。 しかしあれは「カンナ」ではないのだ。俺のなかの常識がぐらついた。

草を刈るための道具といえば「鎌」が思い浮かぶ。でも、あれは「鎌」でもない。似てはいるが、「鎌」と聞いて一般的な日本人がイメージするモノとは違う。俺が「カンナ」と思い込んでいたあれは、おそらくは「鎌」の仲間だろう。大きさは「鎌」と大差ない。片手で持って使うサイズだ。「鎌」と違う特徴は、まず刃の幅が広い。そしてその刃と柄をつなぐ部分は細い棒状となっている。何かを掻き出すための道具のようにも見える。クマデに近いのかもしれない。雑草をかき集めるように刈り取っていく。「鎌」のように草の茎を直接切らないから、刃先が地面に当たる。だから、今日のように地面が乾ききっている日は、カチカチと金属質の硬い音が聞こえてくるのである。

さて、ここまでただ書いていただけではない。俺が「カンナ」と呼んでいた謎の道具についてネットで検索もしていた。もう答えはわかっているのだ。それは「ねじり鎌」というらしい。商品名なのか一般名称なのか判然としないけど、だいたいどこの園芸ショップのサイトを見ても「ねじり鎌」と分類されているから、たぶんそれで通じるのだろう。ただ、広辞苑に「ねじり鎌」が載っていないことが、微妙に権威主義寄りの俺を不安にさせる。草刈道具にどんな権威があるのか知らないけど。

謎もとけたことだし、道徳意識のある読者様は「いいからお父様を手伝いなさい」とイライラされているかもしれないので、庭に出るとするか。たまには外に出てお日様を浴びよう。

庭では親父が「ねじり鎌」で雑草を掻き集めている。その姿は潮干狩りのイメージに近いかもしれない。
「おっちゃん、俺も手伝うよ」
「いいからおまえは出てくるな。ひとに見られる」
ああ、そうか。ひきこもりニートってのは、こういうことなのか。




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プロフィール

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
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