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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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俺はボールを受け止めた

投稿日:2008年05月04日(日)

確かに受け止めた。投げられたのだから、受け止めた。受け止めたボールはどうしてくれようか。俺はそれを握りつぶそう。握力には少しだけ自信がある。渾身の力をふりしぼる、とはまさに今使うべき言葉だろう。俺はボールを握りつぶそうとした。無理だった。俺の握力では無理だった。握りつぶせなかった。

潰せないボールになんか興味ない。ならば、このボールを投げた主を捕まえよう。いったいどんな奴がこんなボールを投げたのか。俺はそいつを捕まえて顔を見てみたい。どんな顔をしているのか。口の臭いはどうだろう。どれぐらい鼻毛が伸び、鼻糞が溜まっているか。耳垢はどうだ。白髪の数は。あるいは、下着ごとズボンをずりおろし、そこにどんなペニスがぶら下がっているのか見てみたい。ケツを広げ、肛門の周りの糞の拭き残しを確認したい。そして、もし色欲の情にかられたら、そのまま犯したい。

しかし、どこを探しても、ボールの主は見つからない。誰が投げたかはわかっているが、その実体がつかめない。いや、本当は実態というべきか。いったいどこにいる。本屋の棚からごっそり抜き出してレジカウンターに突き出せば、捕まえられるのか。狩るだけ狩って、本棚の前に干しておけば、干からびたそれが水を求めて夜な夜な徘徊するかもしれない。

そうなると、この手の中にあるボールはもういらない。投げ返すのは、負けたみたいで悔しい。だから、俺はくるりと後ろを向いて、さらに遠くへ投げつけてやる。

次は誰が受け止めるだろう。



高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』
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ん!!

何やら日常の中でもこんなに話が作れるのだぞという典型的な例に思えますが。違うのかな。
ちと話の奥底まで行き過ぎているようですが、
これもまた行き過ぎてしまうと、こうなるというお手本なんですかね。それとも錦さんの創作!?

>>小生さん

こんにちは! 小生さん。

『一億三千万人のための小説教室』は凄いと思いました。うえの文章は、読み終わった後に書いた、啓示のようなものです。
最初は感想の一つでも書いて、適当に内容を紹介しようかなと思ったのですが、なぜかこうなりました。
高橋源一郎氏が読者に投げかけた「ボール」を、わたしの場合はうえのように受け止めたのです。

『一億三千万人のための小説教室』はわたしにとってはひじょうにためになる本でした。

無題

オレは読んだけどな・・・

>>六年野郎さん

こんにちは!
お久しぶりです。

正直、この著者からは何か病的な思考を感じました。で、俺もちょっと心の病っぽいところがあるから、共鳴(?)したのかもしれません。なんだかよくわかりませんが(笑)

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
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