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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月21日(木)

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昼寝が終わらない

投稿日:2008年10月08日(水)

時計代わりの携帯電話が目に映っているのに、それをつかもうとする手がどこにも見えない。

思い切って身体を動かすと、起き上がるのだが妙な違和感がある。頭の上のほうで、ずっと掃除機の音が鳴り響いている。じんじんと手足が細かく振動している。

これはまだ夢だ。目を開けろ!

時計代わりの携帯電話が目に映っている。枕にした座布団も左目の視界にある。読みかけの文庫もそこにある。けれども、それらをつかもうとしている手が、どんなに動かしても、目に映らない。顔の前でぶんぶんと手を振っているのに、見えない。

これはまだ夢だ。もう一度、目を開けろ!

同じことを数回繰り返す。同じ文章が続くので、コピーペースト、コピーペースト、コピー……。

※※※

いわゆる体外離脱状態なのだが、俺の場合はただの明晰夢に近い。目に映っている景色は確かに昼寝している部屋のものだが、夢が創り出している虚像なのだ。手を動かしているつもりだが、現実の手は動いていない。手を動かしている感覚も、夢が創り出したものだ。じっさい、本当に目が覚めてみると、あたりはすでに真っ暗で、さっきまで見えていた光景と違う。手は身体の下敷きになっていたので動きようがない。

昼寝をするとかなりの確率でこの状態になるので、俺は怖い。怖いのだ。

体外離脱だの明晰夢だのというと、ある種の人にとってはあこがれの体験かもしれないが、俺は怖くてたまらない。もう少し身体を動かせば、完全に肉体からはなれることができそうな感覚になるのだけれども、同時に、心の内奥にどうしようもない恐怖感が生まれる。今、こうやって覚醒しているときは、どうせ夢なんだから思い切ってその先に行ってしまえばいいのにと思う。しかし、いざその状態になると、まったくどうしようもない恐怖にとらわれてしまうのだ。あえて喩えるなら、現実世界で、屋上から地面に向かってちょっと飛んでみようとしている感覚だろう。空想ではなく、現実でだ。現実で屋上から本当にダイブできる人間は、いうまでもないだろう。

それに、これはちょっとオカルトめいた話になるので嫌なのだが、この昼寝中の明晰夢にあまり長い時間はまっていると、いろいろな「何か」が俺の寝ているところにやってくる。

とはいいつつ、俺はオカルト好きだからこそ、逆説的に現実主義者になっているので、自分の体験はすべて脳内での出来事だと認識している。けれども、俺とは逆に、現実主義にどっぷりはまっている人は、こういう体験を「自分が」してしまうと、あれよあれよとオカルトの世界に来てしまうのかもしれないな、と最近考えている。





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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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