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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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ワープロのおもいで

投稿日:2009年01月19日(月)

昨年の12月末に、メインで使っていたデスクトップパソコンがぶっ壊れてしまった。サラリーマン時代に使っていたノートパソコンを復活させ、さらにメモリを512MB増設してなんとか実用に耐えられるようになった。とにかくお金がないから、パソコン一台新調するのも至難なんだ。ちなみに増設メモリは送料まで入れて2705円だった。今の自分にとってはとんでもない大金なのだ。
 

金がない、という意味合いのことを人前でいうのは一般常識として間違っている。金に関する話題は基本タブーだ。金ってのはあってもなくても変な奴が近寄ってくるから怖ろしい。金があればたかられ、金がないと金貸しやら怪しい商売の勧誘やらが寄ってくる。だからといって、金に興味がない素振りをしていれば、寄付や慈善活動を強要されたりするからまた困る。近所にいるんだよ、そういうのが好きなお宅が。なぜか私を善意の塊だと勘違いしている人が本気でいるから不思議だ。なんで自分の生活すら危うい私が、東南アジアの学校にいけない子どもたちのために金を出さないとならないんだよ。人の家のなけなしの財産を削りとるよりさきに、あんたんとこのその無駄に広い土地と家を売り払って金にしなさい。ほんとにもう。私はたとえ金持ちになっても赤の他人のためには絶対使わないぞ。もちろん、その行為によって自分の名が売れるなら内心笑いながら喜んで金を出しますけど。まあ、そういう寄付だとかは金を出し惜しまないお人好しにたかればいいんです。金を出すことに喜びを感じる方々がじっさいにいるのですから。彼らからかき集めるのが一番です。あ、なんだ、私も同類か。(ちと、あざといか)


話がそれてるそれてる。


とにかく、仕方なくノートパソコンを使っているわけだが、こいつのキーボードをパコパコ打っているとなんだかひどく懐かしい気分になってくる。なんで懐かしいのかなあ、とその成分を分析してみたが、最初はたんにサラリーマン時代に使っていたノートパソコンだからだろうと思っていた。でも違う。懐かしさの質が違う。そんなたかだか5年ぐらい前のことで懐かしがるわけがない。


で、昨日の夜、布団のなかで唐突に思い出した。それがタイトルでばれてるけど、ワープロなんだ。


ワープロって書くと、今じゃ一太郎とかWordといったパソコン用ソフトが連想されるはずだ。でも、昔、1990年代にはまだワープロ専用機があった。キーボードと画面と印刷機が一体になった、ワープロ専用の機械。何だか自分、ひどく間抜けなこと書いている気がするけれども、今年はもう2009年だぜ。今、10歳前後の人はワープロ専用機のことを知らないかもしれない。存在は知っていても、触ったことはさすがにないだろう、と年寄りじみたことで優越感を得たりするわけだ。これっぽっちも優越していないのにな。


早い話が、ノートパソコンで文章を書いていると、むかーしに買ったワープロ専用機を思い出すのよ。形がさ、似ているといえば似ているでしょ。ノートパソコンとワープロ専用機は。本体をパカって開くと画面とキーボードが現れる、ってとこが。ただそれだけのことだけど。


ただそれだけのことなのに、じゃあそのむかーしに買ったワープロってどんなやつだったかなと考え出したらとまらなくなった。気になって仕方がない。実は今書いているこのBlog、内容が現在進行形だ。ネットで昔のワープロ専用機のことをあれこれ検索している。


買ったのはいつだったかなあ。高校を卒業した年だったような気がする。1992年前後だろうな。いつ卒業したのかもうあやふやだぜ。


買った、とか書いているけど本当は、買ってもらった、だな。両親におねだりして買ってもらった。当時、高校を卒業した自分は進学もせず就職もせずぷらぷらしていた。今ならニートっていう便利な言葉があるから説明が楽だけど、昔は理解されなかった。プー太郎なんて言葉はもっと昔からあるけれども、ニュアンスは違ったのかな。とにかく、高校を卒業したばかりの人間がぷらぷらしているのは異常だったわけだ。


そこで、ワープロにつながる。どうつながるかって、当時の自分の思考回路がアレだったとしか言えないのだが、ワープロが使えれば何か仕事になると本気で考えた。というより、ワープロが使えなければダメだろうと思い込んだ。何が具体的にダメなのか考えていないところが馬鹿の馬鹿たるところなんだけど、本人はいたって真剣だ。さっそく、パパとママに、おねがいボクいい子にするからワープロ買って、とお願いした。


両親もまた馬鹿でさ。どういうおねだりの仕方だったか忘れたけれども、わりとあっさり買ってもらえることになった。たぶん、息子の将来を心配しすぎて頭がおかしくなっていたんだと思う。ワープロがあればなんとかなる、ってのを真に受けたんだろうなあ。かーちゃん、ごめん。とーちゃんは……別にいい。今でもギャンブル狂だから。


で、さっそく次の日曜日にコジマに行った。ちょうど地元に一件目がオープンしたばかりだったと思う。あーゆー大型電器店のチェーンなんて概念が当時の田舎にはなかったから物珍しかったな。電器屋といえば町の小さな電器屋か、スーパーの片隅にあった電化製品のコーナーぐらいだったから。コジマってなんだ、やっぱ小島さんが経営しているのか、どこの小島さんだい、よくこんな大きな店を作ったなあ、たいしたもんだ、と長閑な会話が繰り返されたとか。


で、買った。


あっけない。そもそもワープロ専用機の知識なんかこれっぽっちもないわけだし、当時はインターネットなんてなかった(おっと、一般家庭にって意味ですぜ)から電器屋に並んでいる商品そのものと店員の説明が情報のすべてだった。といっても、店員がどんなに親切丁寧に説明しようが、わけわからない。キーボードを叩けば画面に文字が現れてそれを紙に印刷できる。その一連の動作に、機種によっていったいどんな差があるんだ。同じだろ。だから選択の基準は金額だけになる。知識がないから、ワープロって名前がついていればみんな同じだろうと考えるのも当然で、あるのは金額の問題だけ、とにかくコジマで一番安いのを買ったんだと思う。ローンで。


で、その肝心の機種名がもうわからない。


それをこのBlogを書きながら調べているのだけれども、そろそろギブアップかなあ。メーカーはカシオだった。これは覚えている。型番にJWとあったような気がして調べてみるも、カシオにJWはない。JWは東芝らしい。じゃあHWだったかなとヤホー(ナイツっぽく)の検索窓に叩き込んでみるとそれなりにヒットする。おそらく、HWの9000番台じゃないかなあ。これじゃありませんか? と仮に教えてもらったとしても、外見では判断できないぐらい記憶が曖昧なので、追究するのも時間の無駄かな。


とにかく、カシオのHWの9000番台(たぶんな)を買ってもらったのだ。


今は電化製品のほとんどは無難なダンボール箱に入っているけど、このカシオのHWの9000番台(たぶんな)はちゃんとデザインされたかっこいいパッケージで、やたらとデカイ。箱の正面には黒地に白文字の商品名がスタイリッシュな書体で印刷され商品写真が配置されている。側面や背面にはいかにこのワープロが優れていて万能であるかという説明がことこまかに書かれている。外国人っぽい知的なビジネスマンが真っ白いオフィスでワープロに向かっているイメージ写真付きでね。ああ、やべえなあ、こんなすげぇの持ち帰るのってなんか嫌味じゃね? 我が家ってとてもクールなんですよってさ、思われないかな。えへへ、えへへ、えへへへへ。という気分がパパンのクルマに積み込むまで続いた。


さて、ワープロが我が家にやってきた。大げさなパッケージを開けるとまずは電話帳並の説明書が何冊も出てくる。とかいいつつ、田舎の電話帳は実はけっこう薄い。ジャンプやマガジンより薄いかも。人口が少ないからね。だから田舎の電話帳並の説明書、としておこう。初めて東京に行ったとき、高田馬場で公衆電話に入って備え付けの電話帳の分厚さに驚いたという記憶があったりなかったりする。曖昧なのだ。高田馬場じゃなくて秋葉原、いや池袋、うーん渋谷だったかもしれない。電話帳も分厚かったのではなく、何冊もあって驚いたのかもしれない。覚えてないなあ。そもそも、なんで公衆電話だろ。って、まだケータイがなかった(おっと、一般人にですぜ)ころだからか。あー、たしか、雑誌で見た店に行ってみたくなったけど場所がわからなくて、電話帳で住所を調べようと思ったんだ。そうだ、そうだ。だったら、東京なんだから、そのへんにぷらぷらしているおまわりさん(他意はありません)に訊けば早いのに、まったく田舎者だね。と書いている間に思い出した。行きたかったのがえっちっぽいお店だから訊くに訊けなかったんだ。そうだべ。ところで、「いぬのおまわりさん」って秀逸だよね。いろいろ。


何の話だよ。ワープロか。


とにかく、最初は説明書の多さに圧倒されたわけよ。断念はしない。むしろ、これだけの説明書が必要なモノを、これからオレは(我が子は)使いこなすのか、と家族みんなで優越感を得ていたのかもしれない。何も優越してないってのに。そして、いよいよワープロ本体を取り出した。


テーブルの上にワープロが鎮座しております。で、どうするの? ワープロが目の前にあるけど、どうするわけ? あれあれ、ワープロ買ったけど状況は何も進展しないぞ。これがどう仕事に結びつくんだ。何をしたらいいねん。どうするの、どうするの。ワープロ専用機だからゲームなんかできないよ。


家族の名前を打ち込んでみた。印刷してみた。わー、すごい。


ご家庭で活字が印刷できるなんて、当時はびっくりだったんですよ。本気で。パソコンはすでに家にあったけれども、プリンターはなかった。プリンターは、あなた、昔は贅沢品だったんですよ。持っている人は少数だった。パソコン本体を買ってもらうことじたいが奇跡じみているのに、さらにプリンターなんぞというものを買ってもらうにはカミの存在を信じないとならない。いや、それ以前に、プリンターなんか必要なかった。プリンター? なにするのそれ。エロいのに関係ある? ない? じゃあいらない。そういや、同級生でやたらパソコン環境が充実している奴が一人いたなあ。小学校のときからパソコンを持っていて、プリンターだって当然のようにある(ドットプリンターだけど)。それが、冒頭に書いた寄付や慈善活動を近所に強要するお金持ちの家の子だったりする。


さあ、家族全員の名前がインクリボンで印刷されて出てきた。で、次は。さあ、次はどうする。どうするのか言ってみろ、自分。


ワープロは部屋の隅に置かれた。

 



と、ここでおしまいになるはずだったのに、どういうわけか、ムラムラした。パピーとマミーがいないとき、部屋の隅でぼけっつらをしていたワープロを自分の部屋に移動させた。そして、エロい文章を打ち込みはじめた。


おそらくなんだけど、ワープロ専用機にしてもワープロソフトにしても、文章が入力できるモノを手に入れると何か書きたくなるのが人間の性ではないだろうか。自分のパソコンがすでにあるとはいっても、MS-DOSの時代だし、一太郎もなにも持っていなかったから文章作成には縁がない。パソコンは基本的にエロゲー専用機だというのが常識だったし、タイピングにも慣れていないから文章なんか紙に手で書いた方が百倍速いぜと豪語していたころだ。それでも、なぜかムラムラっときて文章を打ち込みたくなったのだ。


小さい「っ」はどうやって出すんだよ、とか言いつつ、ワープロでひたすらエロい文章を書いていった。エロい文章といっても、小説ではない。本当にエロいシーンだけを書き殴った文章だ。しかもたいした量ではない。現時点で、今書いているこの文章は4800字を超えているが、昔書いたそのエロい文章は印刷してもA4用紙いっぱいになるかならないかぐらいのものだった。


何を書いたっけかなあ。あの頃好きだった「ママは小学4年生」というアニメをもとにしたやつだったと思う。知ってますか? ママヨン(当時はこう略した)。小学4年生の女の子が主人公で、ある日突然、未来から自分の赤ちゃんがタイムスリップしてくるというSFまじりのハートフルストーリー。岩崎宏美がテーマソングを唄っていて、オープニングが『愛を+ワン』だったかな。エンディングの『この愛を未来へ』が好きで好きで、CDまで買った。モーツァルトのK.545をもとにしたメロディが今でも心(耳か?)に残っているよ。白いカーテンが揺れる窓辺でみらいちゃん(赤ちゃんの名前ね)を抱っこしているなつみ(主人公ね)の姿はアニメのエンディングでも最高の部類に入るよ。だから、当然、姪が生まれたときは、妹のアパートの窓辺でそれを再現して悦に入っていたのだ。ちゃんと『この愛を未来へ』を口ずさみながらね。


そして、今、唐突に自己嫌悪に陥っている。それぐらい好きなアニメで、当時の自分はエロい文章書いていたんだぜ。最低だ、最低。文章を書くってのは封印されていた記憶も容赦なく掘り起こしてしまうんだな! ひとつ勉強になった。


とかいいつつ、今じゃもっとえげつないモン書けるぜ、げへへへ、と茶化してしまうところがオヤジだよね。


 

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無題

こんにちは。さくらです。

久しぶりに、管理人さんの長い日記を拝見したような気がします。

……実は、楽しい方なんですね。(笑)

この勢いで小説を書いて頂ければ、かなりな枚数いくのでは? などと、余計なお節介を焼きたくなってしまいました。

それでは、失礼します。

>>さくらさん

さくらさんこんにちは。

さくらさんのコメントはいつもあたたかいものがありますね。
じわじわとやる気が湧いてくるようです。

ちなみに、私も最近、リレー小説ではありますが、書いております。
もしよろしければ下記サイトへご訪問いただければと思います。

http://aliceizer.blog24.fc2.com/blog-category-7.html

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