投稿日:2024年11月22日(金)
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投稿日:2008年08月19日(火)
小説には役立たないよ、と用心深く断っておく。最近購入した本でこれはいいなと思っただけ。
哲学とはある種の人間にとってはセラピーと同義だ。何か心の治療をしてくれると期待してしまう。十代のある時期に、自分の存在する意味ってなんだろう、と考えざるを得なくなってしまい、そのまま保健室に行かず図書室に行ってしまったような気の毒な人間がそうだ。さらに運悪く哲学関係の書物を開いてしまえば、そこには今まで自分では気づかなかった世界の見方や思考の方法が書かれていたりするのを発見してしまう。開いた本人が無知で純粋な阿呆であればあるほど、この世の真理を得てしまったかのような幸せな錯覚に陥ることができる。こうして暗い青春時代は幕を開けるのだ。まあ、誰でも通る道かもしれないよね。
それはさておき、セラピーまがいでも教養でも知的好奇心でもなんだもいいけど、中途半端に哲学だの思想だのに触れていると意外な落とし穴が待ち構えている。見事にはまってしまったから、わかる。難しい言葉ではなく、無意識に使ってしまうような簡単な言葉ほど間違いや勘違いがあるのだ。あるいはその言葉の背後に隠れている思想の連鎖に気づけない。
『思考の用語辞典』はタイトルこそ辞典となっているけど、中身は著者である中山元氏が選んだ100の言葉についての読み物となっている。どの項目から読んでもいいようにできている。たいへん読みやすくわかりやすい。あと、夜読むと、よく眠れる。
ちなみに、おっさんになってからまた哲学にナニかを求めるような人間には、中高生のそれとはまた違う意味で自分自身の存在についての悩みがあるから、やさしく接してあげて欲しい。俺とか。
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