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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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夢と想像力

投稿日:2010年02月16日(火)

 昨日書いたエントリに触発されて連鎖的に気付いたことですが、大抵の夢は現実世界の仕組みに忠実であり、滅多なことでは破綻しません。

たとえば、前回例に挙げた「道」の夢では、夢の世界であっても道は道としての機能を失ってはいません。象やオバケが道を歩いてくるという組み合わせが突飛なだけです。オバケは現実にはいませんが、オバケの「現実にはいないはずのもの」という機能は失われていません。

見たことがない風景の夢であっても、それは私自身が見たことがないだけであって、取り出して現実世界の知らない風景と並べてしまえば区別がつきません。つまり、現実にもあり得る風景なのです。

夢を体験談のように書いても第三者には判別できないという話でもあります。もちろん、南極に東京タワーがある、というような誰もが知る固有名詞の組み合わせなら、それはあり得ないだろうとわかるでしょう。しかし、東村の公民館に向かう途中で消防団の矢崎さんと合って話し込んでしまった、という話が夢なのか現実なのか、第三者にはまずわからないと思います。(ちなみに「東村の~」、これは夢でも現実でもなく、嘘です。東村に公民館はありませんし、消防団に矢崎さんはいません)

夢を想像力の産物として考えるなら、あまりの貧困ぶりにショックを受けます。

そこで夏目漱石の『夢十夜』や内田百けん(閒の字が表示できない環境もあるらしいので)の夢を題材にしていると思われる作品、稲垣足穂の『一千一秒物語』などが凄まじい想像力によって書かれ、作品として成り立っていることに気付きます。

私が自信の作品を書く上で頼りにしていた「夢」が、じつは平凡な想像力が生み出した平凡な世界であると唐突に判明したのです。

さて、これからどうしたものでしょう。

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コメント

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想像力とは奈辺にありき?

こう、考えてみたらどうでしょう。
 江戸時代の人間には、ヘリコプターを見ることはできないという話があります。当時の人間には、ヘリコプターという概念そのものがありません。それに故に、目の前に実存したとしても、私たちと同じように認識できないということです。
 私は永年夢日記をものしていますが、その記述はほどんと解釈と表現した方が適当であり、とても、ありのままというわけにはいきません。
 夢を他人に伝えようとぜず、ただ、体験だけを小説のように描写しはじめて気づいたことですが、人間に想像力があるのではなくて、彼は単なる解釈者にすぎないということです。おそらく、それは神の部類に位置することなのでしょう。
 ヘリコプターの話に戻りますが、江戸時代の人間と同じように、私たちは私たちの解釈法によって、巨大な世界を描かねばならないのです。私たちはそれを摑むことはできません、しかし、解釈することはできるかもしれません、
 おそらく、この解釈というところに、他人との差異ができると思うのです。

>>uenoさん

まさに「解釈する能力」について考えていました。
自分の夢を例にするなら、「道」の夢だからといって道しか見えていないわけではないはずです。
uenoさんのお話に助けを借りますが、夢を見た当時の私には、解釈できるのが「道」とそこをやって来る「象」なり「オバケ」なりであって、もしかしたら江戸時代の人間にとってのヘリコプターのようなものが夢のなかにはあったのに、それを解釈できなかったのだと考えられます。

じっさい、言語化できない夢というのは非常に多いのです。それは、見えているものが何であるか解釈できないということに他なりません。

そうなりますと、自分の考えていた「想像力の欠如」は、じつは「解釈力の欠如」なのかもしれません。(便宜上「解釈力」という言葉をでっちあげました)

おそらく、創作の核心に触れる問題ではないでしょうか。
uenoさんの考えをもっと聞きたいところです。

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
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