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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月23日(土)

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たぶん終わる日

投稿日:2008年11月24日(月)

カーテンも開けない薄暗い部屋に毎日いると
きっとここで自分は死んでいくのだなと思うようになる

蛍光灯の光は緑がかっている
くしゃみ一つで部屋の空気は激しく対流する
時計の針の音は片足を怪我した人の歩くリズムと同じ

そんなことに気づけるようになったある日
ちょっとだけ外に出てみようかと思った

こんな部屋のなかにいたらきっと私は死んでしまう
生きるために外に出よう

そう考えた

建て付けの悪い玄関を舌打ちしながら開けると
外にはわざとらしい青空が広がっていた

なんで空は青いのだろう
昔からこんなに鮮やかな色だっただろうか

ふり返ると 三分の一ほど廃屋になりかけた我が家があった
私が今までいた場所は恐ろしくちっぽけだ

風がかすかに吹いている
名前の知らない鳥がどこかで啼いている
庭に落ち葉が積もっている
隣の家の銀杏がまだ黄色い葉を少し残している
遠くの山がうっすらと白い

季節は今も巡っている
私は苦しいのに

生きるために外に出たけれども

得られたのは
自分を終わらせる勇気だった





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後継者

投稿日:2008年11月24日(月)

風邪も治まってきたのか、悪夢もそれほど酷くなくなってきた。

長い夢をみていた。

その世界で私は半ば廃墟と化した歴史的建造物に住んでいて、毎日やってくる修学旅行生を相手に講義をする仕事をしていた。何千、何万もの学生たちがやってきた。私は彼らに、世界の真理を伝えようと努めていた。やってくる学生たちのなかには、懐かしい私の小学生、中学生時代の友人たちの顔をあった。また、中世のヨーロッパ風の人々もやってきた。武士や軍人もきた。どうやら、時間を超越した世界のようだった。

夢の終わりに近づいた頃だろうか。私は小学生ぐらいの男の子を一人つかまえて、今から教えることを後世に伝えてくれといった。

私は鮮やかなグリーンのゴムボールを男の子に見せた。
「この色はどんな音に聞こえる?」
男の子は首を傾げて困っていた。
「色を音に換えるんだ。すべての色には音がある」
私は7色のパネルを取り出し説明をはじめた。
「黄色が一番わかりやすい。黄色は『きーん』という鋭い音がするだろう。たとえば、檸檬の音だ」
色が色として<見える>のは人間が映像としてそれを処理しているからだ。だったら、色が音として<聞こえる>ふうに処理することも可能なのだ。私はそういうことを、男の子に教えていた。

そして、その男の子が世界の最後の一人だったらしく、彼が帰ったあと、私のいた世界は急激に崩壊し、目が覚めた。



1200字縛り

投稿日:2008年11月22日(土)

怪談がはたして小説なのかという話は別として、3日に一作ぐらいのペースで怪談を書いては某所に送りつけている。

そうはいっても、送ったのはまだ3作だし、1200字を書くのに3日もかかるのは遅すぎると思う。目標は一日一作だ。

あと、いろいろ考えるのはちょっとやめるように努めている。とにかく、アイデアというかネタが尽きるまで書いてみて、その後、本当に何も書けなくなったら、そこでおしまいにする。

今はまだ自分の記憶に残っている他の作品のエッセンスを無意識に盗作しているレベルの作品しか書けていないから、すべてを出し尽くしたあとに、本当に自分のオリジナルが書けるかどうかが勝負どころだろう。

思考のピース

投稿日:2008年11月22日(土)

熱は下がってきたようだが、それでも朝方までうなされ、また妙なヴィジョンを見ていた。

それは六角形のピースだ。

自分の思考は、機能毎に分けられた六角形のピースを組み合わせることによって成り立っていると気づいた。周囲の空間から不意に生まれ出る六角形のピースが、自分の頭のなかに飛び込んできては、ガチャリガチャリと組み合わせられていく。それらは半透明な無機質で、電子回路をイメージさせる細かな紋様が内部に閉じ込められているが、どういう機能を持っているのかは直観できる仕組みになっていた。

私はその様子を熱にうなされながらずっと眺めていた。そして、読書の意味を悟った気がした。同時に、創作に必要な六角形のピースが足りていないこともわかり、朝になったら早速そのピースを探そうと思った。

 

熱の夜

投稿日:2008年11月20日(木)

風邪のためか熱が酷かった。

熱にうなされると、よくわからないヴィジョンをずっと見なければならないので苦しい。考えようによっては楽しいのかもしれないが、何かにとりつかれたかのように同じヴィジョンを見続けるのだから、どうなんだろう。精神力の問題か。

ヴィジョン。

自分が一つの光源となって、真っ暗な空間で明滅を繰り返している。そのタイミングは耳の奥にかすかに届く時計の針の音と同じだ。時計がカッチカッチと鳴る毎に、自分を中心に白い光の輪がパッと広がる。その輪は、部屋いっぱいぐらいの大きさになると自然に消える。このヴィジョンを見ているときは、これこそが世界の真理だと直観していた。世界のあらゆるものが、この光の輪の内に生まれては消えていく。もちろん、熱が冷めた今では、なぜそれが真理に思えたのかまったくわからない。しかも、言葉にしてしまうとなんだかくだらなすぎて泣けてくる。

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プロフィール

HN:
小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
メールでのご連絡は benzine100@gmail.こむ スパム対策なのでこむをcomにかえてください。 


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