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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月23日(土)

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疾走する夢

投稿日:2008年11月28日(金)

それはクルマだったり自転車だったり、あるいは未知の世界の乗り物だったりするが、どんどん加速を続ける夢をたまに見る。

先日は自転車に乗っていた。学生時代に通っていた道である。現実では平坦な道なのに、夢のなかの街は急斜面になっていた。どこまでも下る坂道を、私は懐かしい自転車に乗って走っている。そして、当然のようにブレーキは壊れていた。

加速による爽快感と止まれない恐怖感を同時に味わう。止まるためには、どこかでわざと転ぶか何かにぶつかるしかない。それは生と死の選択と同義だ。死にたくないから、走り続ける。容赦ない加速で内臓が突き上げられる。頭から血の気が引いていく。自分の意思と関係なく、呼吸が痙攣のようなリズムを刻み出す。最後には、死んでもいいから止まりたい、と願うようになる。もしかしたら、死なないかもしれないじゃないか――と。

ある瞬間、自分ではなく、世界そのものが高速に過ぎ去っているような錯覚に陥る。私が街のなかを走っているのではない。街が、私から走り去っているのだ。懐かしい風景が、風のように私の横を走り去っていく。

ああ、だから自分は走っているのか、と夢のなかで何かを悟って、目が覚めた。




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創作する恐ろしさ

投稿日:2008年11月28日(金)

ここ数年の間にたいした数の作品は書いていない。しかし、それらを見返してみると、自分自身がいたるとこに見え隠れしていることに気づいてしまう。

自分自身とは、自分の生き方、考え方、ものの見方、状況判断等のことだ。完全な創作、架空の話、虚構でありながら、そこには紛れもなく自分の世界があるのだ。書けば書くほど、自分を晒しだしてしまう。
 

本当なら、今書いているこのBlogの日記でこそ、自分がどういう人間であるかがわかるはずなのだ。普段、このBlogでは、多少はキャラを作っているが、正直に思ったままのことを書いているつもりだ。それなのに、どこか嘘くさい。こんなときは「韜晦」なんて言葉が思い浮かぶけれども、結局は嘘の自分を表現していることには違いない。

ところが、これが創作になると、創作された作品のなかに、隠しようのない自分自身が現れてしまう。まったく不思議だ。しかも、自分が意識していない「自分」までいたりする。創作という壮大な嘘をついているはずなのに、実は正直に自分を告白しているのだ。

もちろん、これは別の考え方もできる。創作のなかに自分が現れているのではなく、創作のなかに現れた「それ」を見て、自分が逆に形成されているという考え方だ。本当の自分に気づいたのではない、「気づいた」と思った瞬間に、自分が作られたのだ。

このことは、他の人の作品やそれに関する苦悩を見てもなんとなくわかるので、もしかしたら一般論に近いのかもしれない。




 

懐かしい百科事典

投稿日:2008年11月28日(金)

なんで捨てちゃったんだろうなあ。

子供の頃、うちには子供用の学習百科事典が二種類もあった。一つは名前を忘れてしまったのでネットでも探しようがない。もう一つは「学習百科大事典アカデミア」というもの。それらがあったから、昔はわからないことがあれば、百科事典で調べるのが当たり前というかそれが日常だった。しかし、十年以上前、もう子供向けの百科事典はいらないだろうと思って全部処分してしまったのだ。そして、平凡社の「世界大百科事典」を買った。

ところが、文章を書くようになって気づいたが、世の中の出来事や仕組みを知るには子供向けの百科事典のほうがわかりやすいのだ。たしかに「世界大百科事典」ぐらいになれば、専門的なことまでいろいろ載ってはいるが、では理解できるかというと非常に難儀する。理解をするためにはそれなりの基礎学力が必要なのだ。ようするに、まったく何も知らない状態から、ある物事を知ろうとした場合に、大人向けに百科事典というのはあまり役に立たないということだ。

それと同じ不満をネットでも感じる。Wikipedia等がそうだ。ネットで何かを調べるとたいていはまずWikipediaの項目がヒットする。Wikipediaの記述はかなり詳しい。しかし、それがいけない。専門的な知識を求める人には有り難いかもしれないが、まったくの門外漢が見る分には煩雑すぎて理解できない。情報を正確にしようとするあまり、ありとあらゆる細かい部分まで書き込まれているため、結局何が重要なのかわからないのだ。

その逆もある。項目によっては、編集する人が少ないためか、大雑把で適当で投げやりなものもあるのだ。なかにはあきらかに専門外の人の思い込みで編集された項目もあったりする。たとえば「物語の類型」という項目を見ると、「物語の類型」とは何かがよくわかっていない人がトンチンカンな記述を加えている。

なんだか話がそれた。

まあ、あとはWikipediaに限ったことじゃないけれども、ネットに頼りすぎると知識がどんどん断片化していくよね。難しいことは知っているのに、以外と基本的な部分がわからなかったりするのが悩みどころだ。

だから、子供向けの百科事典が懐かしいなあと思うわけだ。文章を書く上でのちょっとした知識の欠落を補うのには、子供向けぐらいにわかりやすいほうがいい。



*****


ここまで書いて気づいた。別に、ネットに存在する子供向けの学習ページを見るのでもいいってことだな。

ある日世界は動き出す

投稿日:2008年11月26日(水)

世界といっても、自分が属する狭い範囲のことだけどね。

ヒキコモリニートをずっとやっていると、毎日が何の変化もなくだらだらと過ぎていく。そのこと自体はもう慣れちゃったから平気なんだけど、自分がまるで時空間から隔絶されて、取り残されているような錯覚に陥ることがある。これは誇張じゃなくて、精神がちょっとおかしくなっているから、現実の感覚だ。

なんていうんだろうなあ。本来、自分がいるべき場所と時間はもう遙か遠くにいってしまっているような感覚といえばいいか。列車に喩えるなら、自分が乗っていた車両が切り離されてしまったともいえる。切り離されてしばらくは惰性で一緒に走っているのだけれども、だんだんとスピードが落ちていき、最後には止まってしまう。まあ、誰が切り離したかって、それは紛れもなく自分自身なのだから、自業自得のそしりも免れないだろうけどね。

ところが、それはあくまでも喩えであって、現実の自分自身は完全に時間と空間から切り離されているわけではない。止まることはできない。たまりにたまったしわ寄せのようなものが、ある日とつぜん、自分に向かって一気にやってくる。

観念的な話しかできないけれども、たとえば、ちょっとした偶然がいろいろ重なりだす。偶然は偶然なのだから、偶然が重なることだって偶然の範疇なんだろう。それでも、偶然に意味を与えるのは人間の知性に他ならないのだから、やっぱり何か意味があるのだ。つまり、自分自身の内部において、何らかの変化が起きつつあるということだ。うーん、具体的な話ができないのがつらい。さすがにプライベートを暴露するほど行き詰まってもいないし。

当たり障りのない範囲で書くならこうか。急に自分が望んでいた知識が手に入ったとか、なんとなく買った古本が自分にとって重大な意味を持っていたとか、メールの整理をしていたら古い友人からメールが来たりとか。

自分は動くつもりがないのに、世界のほうが勝手に動き出している。

ちなみに、これを悲観的に捉えるなら、世界がそろそろ俺を精算しようとしているとも……。



ビルの夢

投稿日:2008年11月24日(月)

ビルは夢の世界を構築する重要な建築物だ。

イメージとしては、下の階ほど現世に近く、上に行くほど未来的、観念的になっていく。ちなみに地下にあるのはいつも、絶望する何か。

先日見たビルの夢では、ひたすら上の階を目指していた。しかし、途中の階で戦争が起きていたため巻き込まれてしまった。私はあくまでも部外者ということで難を逃れていたが、まあ酷いものだった。規律を守らない兵士たちが集められ、生きた盾として使われていた。規律は命より重いのだそうだ。幸い、私は上の階へのエレベーターを見つけたのでそこからおさらばすることができた。

上の階には、何もなかった。つまり、このビルに住む人類はさっきの戦争で死に絶えるということだ。それでも、まだエレベーターはあった。どこまでも上ることにした。

かなり上の階で、やっと一人の老人にあえた。戯れで「神ですか」と聞くと、老人は首を振って、もう一つ別のエレベーターを指さした。まだ上があるらしい。ここまで来たら、行ってみるしかない。

この上にはいったい何があるのか。

エレベーターのドアが開くと、目が覚めた。

つまり、現実があるということだ。



 

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小瀬朧
性別:
男性
自己紹介:
創作怪談、twitterの短文小説#twnovel、短歌など。
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