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ゆっくりと小説を書こう

小説の書き方やお役立ち本などを紹介するBlogです。「小瀬朧」名義で第9回ビーケーワン怪談大賞をいただきました。twitterでtwnovelや短歌などを発表中。

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投稿日:2024年11月22日(金)

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ある感傷

投稿日:2009年03月13日(金)

姪は私のことが大好きで、毎朝保育園に行くのを嫌がり、おいちゃんちいく、おいちゃんちいく、と泣き叫んでいるそうだ。

保育園からの帰り、私の家に寄ると、姪はもう抱きついてきて絶対に離れない。夕飯も私の膝の上で食べる。

そして、私の家から帰る時間になると、やっぱり泣き叫んで、妹のクルマに乗りたがらない。そんな我が子を妹は「パパがもう帰ってくるでしょ」といって私から引き離すのだが、いよいよ姪の泣き声は激しくなり、なんだか今生の別れを悲しむような雰囲気になる。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のなかで、タイタニックの沈没をモデルにしたシーンがあるけど、そこでほんの少しだけ描かれている、子どもとの別れを悲しむ父親の気分をいつも味わっている。

そういうわけだから、もし私がいなくなると、姪がどれだけ悲しむか計り知れない。

そんな感傷。
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星への旅

投稿日:2009年03月11日(水)

吉村昭の影響は怖ろしい。本当に、眠れなくなった。

先日「少女架刑」を読みたくて購入した短編集『星への旅』には六編の作品が収められているが、徹頭徹尾、「死」を題材にしている。

「少女架刑」は十六歳で死んだ少女の死体が解剖される話。貧困家庭のため、死体は大学病院に売られ(劇中で香奠料として三千円が渡される)、学生たちによって切り刻まれる。

「透明標本」は「少女架刑」にも登場した人間の骨標本作りに執着する男の話。

「鉄橋」は、あるボクサーの轢死から始まり、轢死に終わる。途中、推理小説風になるが、結局は轢死。

「石の微笑」は、墓場から石仏を盗む手伝いをさせられる話。それに心中が絡んでくる。

「白い道」は空襲後の話。所々に死体が転がる道を帰る。

表題作の「星への旅」は、集団自殺をする青年たちの話。
「岩はいやなんだ、岩はいやなんだ、痛いからいやなんだ」


正直に書くと、かなり好きだ。

自分に死を愛好するという嗜好もないわけではないが、これらの作品はすべて、自分がかつて見た悪夢を忠実に再現しているように思えるのだ。もちろん、それはデジャブの一種で、作品を読んだことによって、頭のなかにあった夢の断片がストーリーを伴って再構成されただけだろう。さらには、不謹慎になるが、自分に眠る自殺衝動をくすぐられているともいえる。

しかし、だからといってこれらの作品が死に対する感情を麻痺させているのではない。まったく逆で、死への感覚が研ぎ澄まされる。(念のため、死にたいという気持ちが増すのではないことは断言しておく)

いわば、火葬場の炉の扉を見つめているときの気分にそっくりだ。

年をとるにつれ、嫌でも火葬場に行く回数は増える。耳の奥で、ヒトを焼くごおごおというあの音が、今も響いているよ。私も、いつか必ず、あそこに入るんだなあ。

死にたくないという切望と、死なんてただこれだけのことかという拍子抜けが同時に心のなかに発生する。そんなかんじ。









郵便受けと郵便箱とポストがなおざりでおざなり

投稿日:2009年03月11日(水)

家の郵便受けのこともポストっていうのかな。いうよね。いわないかな。どうだろ。

広辞苑をひいてみた。
ゆうびんうけ【郵便受け】
郵便物を受け取るために家の入り口に設ける箱。ポスト。

ポストでいいみたい。

じゃあ、郵便をだすときに入れるポストはどうなんだろう。「郵便」から始まる言葉を見ていくと「郵便箱」が目にとまる。
ゆうびんばこ【郵便箱】
普通郵便による通常郵便物を投入するため、各所に設けてある箱。ポスト。

こっちもポストっていうみたい。

ポストはどう出ているだろう。
ポスト【post】
(1)(ア)部署
  (イ)職。地位。「重要な-に就く」
(2)郵便箱。また、郵便受け。
(3)標柱。支柱。「ゴール-」

ポストは郵便箱と郵便受けの両方を指すのか。ということは「家のポストにハガキが入っていた」と書いてもおかしくはないけど、「家の郵便箱に~」と書くと、あなたの家は郵便局ですか、と思われるのかな。どうかな。

郵便を郵便箱に入れる行為はなんていっただろう。投函、だったような気がする。
とうかん【投函】
郵便物をポストに入れること。また、書き記した用紙を投票箱・投書箱など定められた箱に入れること。「手紙を-する」

投函であっていた。投函の「函」は「はこ」かな。
かん【函】
はこ。「投函」


「はこ」だった。めっちゃ簡潔だね。

郵便とは関係ないけど「とうかん」と聞くと「とうかんし」という言葉を思い出す。
 

とうかんし【等閑視】
いい加減に扱うこと。おろそかにすること。


そんな難しい言葉じゃないのに、あまり使われているのを目にしないような気がする。

「等閑視」の「等閑」はなおざりのこと。
 

とうかん【等閑・等間】
(1)物事をいい加減にすること。意を用いないこと。なおざり。おろそか。
(2)心安いこと。遠慮のないこと。
 

なおざり【等閑】
(1)あまり注意を払わないさま。いい加減にするさま。かりそめ。おろそか。ゆるがせ。
(2)あっさりしていること。


「なおざり」と似た響きの言葉に「おざなり」があるよね。
 

おざなり【御座なり】
当座をつくろうこと。その場のがれにいいかげんに物事をするさま。「-の計画」「-にする」「-を言う」


どちらも「いい加減にする」のは同じだけど、意味は違ってくる。「おざなり」はいい加減だけど、その場で何かをすること。「なおざり」は、なんていうのかな、放っておくかんじ。

「おざなりの心理描写」といえば、一応は心理描写はしているけど、いい加減。テキトー。
「心理描写をなおざりにする」となると、心理描写そのものをどうでもいいと考えているかんじかな。

個人的な感覚だけど、「なおざり」のほうには、それなりに考えがあるように思う。心理描写なんかどうでもいいんですよ、というような著者の態度が見え隠れしている。
「おざなり」だと、なんだかよくわからないけどとりあえず心理描写しておけばいいんだな、というような、まあ、その場しのぎ、か。

とはいっても、あまり間違って使うことはないような気もする。けど、怖いから、「なおざり」はなるべく使わずに「等閑視」という形で使っていくつもり。

ちなみに、かなり昔、こやま基夫の「おざなりダンジョン」っていう漫画があったよね。だから、ある年代の人たちにはなじみ深い言葉かもしれないね。

 【追記】
今調べたら、同じ作者で「なおざりダンジョン 」というタイトルの漫画が連載中と知ってずっこけた。


 

吉村昭

投稿日:2009年03月09日(月)

「少女架刑」をきっかけに、吉村昭に一気にはまり込んだ。

すぐに、BOOKOFFで売っているだけの吉村昭作品を購入してきた。

『星への旅』(「少女架刑」収録)
『戦艦武蔵』
『密会』
『高熱隧道』

「少女架刑」は、一人の少女の死体視点から、自らの肉体が解剖、解体されていく過程を静かに語る短編作品。
 私の体は、週に一度ぐらいの割で解剖教室に引き出され、学生たちの手に握られたメスで少しずつ刻まれていった。
 皮膚はすべて剥がされ、眼球や爪や両鬢に残っていた髪までがいつの間にかなくなっていた。手足はむろんのこと、脊髄すら一個一個分解された。
(「少女架刑」より)

主人公の少女の死体には、恐怖や怒りといった負の感情はない。解体され尽くされ、不用となり、肉塊を木箱に詰められて火葬場で焼かれるときでさえも、自らの体が焼かれていく様子を冷静に眺めている。
 木箱が燃え崩れて、私の体は、焼却室の中にひろがった。
 火の色は、華やかで美しかった。
(「少女架刑」より)



死んでしまった瞬間から、目や耳といった肉体の器官は機能していない。それでも、少女の死体は周りの様子を見たり、耳を澄ましたり、骨になってからも、骨壺のなかの温かさを感じたりする。小説という虚構なのはともかくとして、読後に、死に対する恐怖感の質が変わってしまった。ラストは、自分に取っては、夜眠れなくなるほどに恐怖を感じたが、人それぞれかもしれない。

死んでしまった人間の冷静な視点というと、現代の作品では、乙一の「夏と花火と私の死体」が思い浮かぶ。が、肉体と視点の離れ具合は「夏と花火と私の死体」のほうが著しい。肉体としての「わたし」はそこにいなくても、「わたし」がつねに語っている。

また、死体がモノとして扱われる作品というと、大江健三郎の「死者の奢り」が印象深い。こちらは大学病院の死体置き場での、死体運びの話だ。




 

タイヤ交換でつかれた

投稿日:2009年03月03日(火)

ヒキコモリニートには体力がない。

だから、今日の午前中にクルマのタイヤ交換をしたのだけれども、もう疲れ果ててしまって倒れそうになっている。いっそ、たおれちまえ、とも思う。金があればスタンドやカー用品店で交換してもらうのに、今はそれさえも躊躇してしまう貧乏っぷりだ。

そこで気づいたのだが、もしかして体力がないから小説も集中して書けないのかもしれない。冗談ではなく、何かを考える、文章を書く、という行為は、もの凄くエネルギーを消費するからだ。

たった今、タイヤ交換しただけで動けなくなったのと同様に、小説を書いたあと、しばらく何も書けなくなるのは同じ現象ではないだろうか。違うか。

でも、ばりばり小説を書ける人を見ていると、やっぱり文章を書く基礎体力からして違うんだなあと思う。


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