投稿日:2024年11月22日(金)
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投稿日:2008年04月20日(日)
俺の書くという行為そのものに影響を与えた作家が花村萬月氏だ。内容にではない。書くという行為そのものにだ。影響というと聞こえがいいが、じっさいは呪縛だと思う。それもかなり無意識の領域に食いこんでいる催眠術的な呪縛だ。尊敬とか傾倒とかそういう作家に対する恋愛感情のような気色悪いものではない。だから、花村萬月氏の小説作品を読むのはこの『ゲルマニウムの夜』が初めてなのだ。
いまとなっては理由はまったく不明なのだが、花村萬月氏が俺の学校で講演をした。芥川賞を受賞する前である。誰も花村萬月氏の名前を知らなかった。担任教師も知らない。当然、俺も知るわけがない。講演内容は日本全国をバイクで駆け巡り、雪の中でオナニーをしたというような印象しか残っていない。ひたすら下品な話が続いたと思う。もし当時に戻れるなら、あの講演会を司会がどういうように終わらせたのかその手腕を観察したい。それはともかく、間違いなくこのときに俺は感染していたのだ。そして長い潜伏期間に入る。
テレビや新聞、雑誌、書店が『ゲルマニウムの夜』と「花村萬月」の単語を連発するようになったとき、あの講演会に関係した人間すべてが驚いたのはいうまでもない。愕然だ。本当なら忘れたことさえ忘れるようなごく平凡な学校生活の出来事、無名の作家による講演会の記憶が、古傷のように消えなくなってしまったのだ。日常生活に支障はきたさないが、それを見るたびに当時を思い出すという、まさに古傷だ。古傷はいつか美談にされるから、怖い。そして、俺は発病する。人生の選択肢というか逃げ道に小説を書くという行為が加わってしまったのだ。
もし、あの講演会が花村萬月氏ではなく、たとえば陶芸家だったり版画家だったりあるいは若き起業家だったりしたならと、ときどき思う。
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